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廻の背中から降りた。
私たちのもとへ駆け寄ってくるお母さんは、どれだけ走り回っていたのか、髪は乱れ、肩で息をしていた。
「やっと、やっとみつけた!!ずっと探していたのよ!?どこにいたの!!」
『・・・。』
「ごめんなさいおばさん。俺が試合見に来てって約束したんだ。」
廻がお母さんにそう伝えればお母さんは彼をきつく睨んだ。
「っ、またあなたなの!?いい加減蝶と関わるのやめて!!」
「・・・。」
「あなたといると蝶がどんどんと無茶をするようになるの!お願いだからもう・・・っ!」
『やめてお母さん、廻のせいじゃないよ。』
廻を責めないでよ。悪いのは全部私なんだから。
廻の前に出た私の肩をお母さんは強く掴んだ。目には涙が浮かんでいる。
「ああっさっきよりも顔色がひどくなってる・・・発作を起こしたの?ほかに苦しいところは?」
『・・・大丈夫だよ。』
「うそ、さっき発作起こしてた。」
『廻!!』
まさかの裏切り!?ここは私に話合わせてくれるとこじゃないの!?
「っ!またあなたが無茶させたんでしょう!!」
『ねえやめてよ。』
お母さんは私に何かあるとヒステリックになる節がある。
こういうときのお母さんは止めるのが大変だ。だって誰の言葉も耳に入れてくれないから。
優しいお母さんなのに、こんなに怖くなってしまったのは、私のせいなのかな。
私の、せいなんだろうな。
「ねえお願い蝶・・・もっと友達は選んでよ・・・。あなたは普通じゃないんだから・・・。」
『・・・!』
「蝶は助けられないと生きていけない体なの。弱い子なの。あなたは普通の体じゃないの。」
ゴツン。
ゴツンゴツン。
音にするなら多分、こんな感じの音。
トンカチで頭を殴られるような感覚。
痛くて、重たくて、叩かれるたびに沈んでいく。
「お願いだからっ・・・普通の子みたいに長く生きてほしいの・・・お願いだから、これ以上お母さんを悲しませないで。」
それと同時に何かがプツリと切れた気がした。
『”ふつうじゃない”って・・・お母さんにはぜったいに、言われたくなかった・・・。』
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みかん - 更新待ってる (1月2日 17時) (レス) id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
ミホ(プロフ) - 続きが気になるーー!! (7月6日 13時) (レス) @page49 id: 9767c8e410 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - めっちゃ面白いです…! (2023年1月26日 22時) (レス) @page45 id: aa1635ecd6 (このIDを非表示/違反報告)
MEI(プロフ) - 思わず涙が出そうになって必死に堪えてます…文才ありすぎでは??これからも頑張ってください、! (2023年1月23日 22時) (レス) @page43 id: 17b5c545cd (このIDを非表示/違反報告)
みく - 面白いです!夢主しんで欲しくないなぁ〜(´・ω・`) (2023年1月23日 7時) (レス) @page43 id: 6bb1bb04aa (このIDを非表示/違反報告)
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