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 「おはよー!蝶!」
 『おはよ、廻!』

  家を出ると変わらず無邪気な笑顔を向ける廻がいた。
  廻の元へ向かう道中にパトラッシュの頭を撫でて「いってきます」を伝えた。

  差し出してきた廻の手を取り、私たちはいつものように手を繋いで登校した。
  一週間ぶりの廻の手だ。
  私が嬉しさを噛みしめていれば、同じ目線にある廻の目が私をじっと見ていた。

 「げんきない?」
 『・・・今日は元気だよ。』
 「そーじゃなくて、落ち込んでる?」
 『・・・。』

  下唇を噛んだ。
  廻はいつも、表面の私じゃなく、内側の、私の心を見てくる。
  どんなに元気なふりをしていてもいつも廻にはバレるんだ。

 「まぁたママとパパにつめたくしたんでしょ。」
 『・・・またかわいくないことした。』
 「いいかげんやめればいいのに、そんな落ち込むんならさ。」
 『だって・・・。』
 「蝶のこと大好きだから心配してくれてるんだよ?」
 『・・・きっともう、かわいくない私なんて嫌いだよ。蛍のほうが、ずっと小さくて、かわいくて・・・元気で・・・。』

  妹ができたから・・・「代え」ができたから・・・すぐに死んでしまいそうな私はもう・・・。

 「蝶はいらない子じゃないよ。一度もママとパパからそんなこと言われたことないでしょ。」
 『でも・・・。』
 「もー!一回落ち込むととことん落ちちゃうんだからー!!」
 『みゅっ。』

  廻は握っていた手を放したかと思うと私の頬を両手で押しつぶした。
  ムスッとした顔の廻が私をまっすぐと見る。

 「俺がウソいったことある!?」
 『・・・こにょあいだ、オレンジジュースて言ってわざと炭酸飲ませたじゃん・・・。』
 「ありゃ?そだっけ?」

  そうだよ。私炭酸飲めないのに、しかも同じいたずらもう2回はされてるし。

 「まあそれは置いといて〜・・・蝶のこと嫌いだったらあんなに蝶のこと心配しないって!なんなら蝶ママ俺のこと嫌いじゃん?」
 『お母さんがごめん。』
 「いーのー、蝶に無茶させちゃう俺も悪いしねぇ。

  でもさ、それだけ心配してるんだから。
  もし本当に嫌いって言われたら俺ん家おいで。うちの子にしてあげる♪」
 『・・・廻と兄妹になるの?』
 「え、それは困る。お嫁さんにできない。」

  本気で悩みだした廻に、私は声を出して笑った。
  少しだけ気持ちが軽くなった。


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みかん - 更新待ってる (1月2日 17時) (レス) id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
ミホ(プロフ) - 続きが気になるーー!! (7月6日 13時) (レス) @page49 id: 9767c8e410 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - めっちゃ面白いです…! (2023年1月26日 22時) (レス) @page45 id: aa1635ecd6 (このIDを非表示/違反報告)
MEI(プロフ) - 思わず涙が出そうになって必死に堪えてます…文才ありすぎでは??これからも頑張ってください、! (2023年1月23日 22時) (レス) @page43 id: 17b5c545cd (このIDを非表示/違反報告)
みく - 面白いです!夢主しんで欲しくないなぁ〜(´・ω・`) (2023年1月23日 7時) (レス) @page43 id: 6bb1bb04aa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年12月8日 1時

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