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  廻と出会ってからまた少し月日が流れ、私たちは少し大きくなった。
  廻はサッカークラブで新しくできた仲間たちと楽しく・・・とはいかないみたいだけれど、今もサッカーを続けている。
  彼はまだフィールドでかいぶつとなる友達を見つけられないみたいだ。
  監督の話も右から左へと流し、ぼーっと空を眺めているのをよく見かける。

  私は、相変わらずというか、寝込む回数は増えた気がする。
  座っているのも辛いときが続いていて、今はもう廻とサッカーはしていない。

  それでも私たちの仲は変わっていなかった。

 「どう?」

  今日もまた、お母さんが心配そうな目で私に聞いてきた。
  測り終えた体温計を取り、平均よりも少し低い平熱を示していた。

 『大丈夫。』
 「でも顔色が悪いわ。」

  そんなのいつものことじゃん。

 「辛いなら今日は学校休んでも。」
 『今日”は”じゃなくて今日”も”だよ・・・。もう一週間も休んだんだよ?』
 「・・・。」
 「お母さん、おむつ切れてるんだけど新しいのってどこにしまったっけ?」

  私とお母さんとの間に重たい空気が流れる中、小さな命を抱きかかえたお父さんがリビングに入ってきた。
  お父さんの腕の中にいる、去年生まれた小さな妹は元気な声で泣いていた。

 「私がやっておくわ。朝ごはん食べないと会社遅刻するわよ。」
 「すまん頼む。」

  お母さんはお父さんから妹を受け取り、奥の部屋へ消えていった。
  お父さんは私と向かい合う席に座り、用意されていたトーストにバターを塗り始めた。
  同じトーストを頬張る私をちらりと見たのが分かった。

 「あー・・・今日は。」
 『学校行く。』
 「そうか。でも顔色悪いし無理は・・・。」
 『顔色悪いのなんていつものこと、さっきお母さんにも言った。』
 「そ、そっか・・・。」

  朝ごはんを食べ終え、大嫌いな薬を飲む。
  お父さんはコーヒーを飲みながら目線を泳がせる。

 「あ!車で学校まで送っていこうか?」
 『いらない。』

  ちょうど家のインターホンが鳴った。
  毎日同じタイミングに鳴るそれに私は沈む気分を少しだけあげた。
  お母さんがインターホンの画面を見て今日も眉間にしわを寄せていた。
  私はそれを無視してマイクに向かって声を発する。

 『いまいくー!』

  用意していたランドセルを背負う。
  両親の「いってらっしゃい」を無視して私は家を出た。



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みかん - 更新待ってる (1月2日 17時) (レス) id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
ミホ(プロフ) - 続きが気になるーー!! (7月6日 13時) (レス) @page49 id: 9767c8e410 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - めっちゃ面白いです…! (2023年1月26日 22時) (レス) @page45 id: aa1635ecd6 (このIDを非表示/違反報告)
MEI(プロフ) - 思わず涙が出そうになって必死に堪えてます…文才ありすぎでは??これからも頑張ってください、! (2023年1月23日 22時) (レス) @page43 id: 17b5c545cd (このIDを非表示/違反報告)
みく - 面白いです!夢主しんで欲しくないなぁ〜(´・ω・`) (2023年1月23日 7時) (レス) @page43 id: 6bb1bb04aa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年12月8日 1時

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