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 (思わず長居してしまった。)

  下駄箱から自分の靴を出しながら苦笑する。
  図書室に本を返すだけのつもりが、新しい本を見つけ・・・一時間程読みふけってしまった。
  とりえあず本は借りて続きは家で読むことにした。

 「あ。」

  下駄箱の中に毒島さんの外履きを見つける。
  まだ教室に残ってるんだ。

  ・・・下校時間まであと少し・・・こんな暗い中一人で帰らせるなんて、は建前でできたら一緒に帰りたい・・・。
  いやでも、とっくの昔にばいばいって言っちゃったからなぁ、ここで待ってて毒島さんが来たら「え、あれからずっと待ってたの・・・?」て気持ち悪がられるかもしれないし。

  うん、帰ろう。
  数秒の葛藤の末僕は一人で帰ることに決めた。

  靴を履き、玄関を出る。
  外はすっかり真っ暗で、少し肌寒さを感じた。
  向うのグラウンドから野球部の気合いの入った声を聞きながら、僕は校門を出た。




  消えたい。



 「―――――。」

  踵を返し校舎に向かって全力で走り出した。
  靴を脱ぎ捨て、階段を駆け上がり、息を切らして廊下を突っ走る。
  教室に近づけば近づくほど、すすり泣く彼女の声が鮮明に聞こえた。

  教室の戸を乱暴に開けば、小さな悲鳴が聞こえた。

 『さ、ぃぉ、んじくん・・・?』
 「はぁ、は、はぁ・・・っ・・・。」

  教室は明かりの一つもついてなく、窓の外から来るグラウンドのライトのおかげでかろうじて毒島さんの表情が見えた。
  彼女の頬を流れる大粒の涙がきらきらと光を反射していた。
  僕は呼吸が整うのを待たず彼女の元へ行く。

  近くで彼女の顔を見れば、目元は袖で涙を拭ったせいか赤くなっていた。
  机に広げられた参考書やノートは数滴の涙で滲んでいた。

 「っ・・・消えたら、だめ、だ。」
 『ぇ。』

  毒島さんは数度瞬きをした。その拍子にぽたぽたと涙も零れ落ちた。
  僕は呼吸を整え、もう一度口を開いた。

 「僕は、僕は毒島さんのこと何も知らない。僕が何言ったって君にとって全部ただの綺麗ごとに聞こえると思う。
  でも、お願いだ・・・、消えないでくれ。

  好きなんだ・・・君が好きで仕方がないんだ。」






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まっちゃ(プロフ) - コメント失礼します!ネタバレになってしまうので内容は書けませんが、番外編、とても面白いです!これからも弥さんの無理のならない範囲で、更新頑張ってください!影ながらも応援しています! (2021年4月18日 1時) (レス) id: 064c02c015 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - わわわわわさん» 申し訳ありません。番外編のリクエストは受けつけていないんです。また番外編を書く機会があればぜひ書かせていただきます。 (2021年4月17日 22時) (レス) id: 28d3fee7a9 (このIDを非表示/違反報告)
わわわわわ - 番外編のリクエストです。耳攻めされたと羽京がドS化したお願いします。 (2021年4月17日 22時) (レス) id: 9c9d4f1707 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年4月8日 23時

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