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医療班の皆に薬の場所や道具の使い方などを説明していればすっかり夜になってしまった。
部屋へ戻る途中、千空くんから仕事を頼まれたカセキさんと杠ちゃんが生き生きと作業している光景が見えた。
きっとまた彼が期待している以上のクオリティのものを作ってるんだろうなぁ・・・。
「おかえり。」
部屋に戻れば羽京くんが笑顔で出迎えてくれた。
『ただいま。』
「どうだった?」
『理事長も先輩たちもすぐに道具の扱いをマスターしてくれたよ。経験ならみんな私よりも遥かに上だから、これで私や千空くんがいなくても大丈夫だと思う。
カルテも作っておいて正解だったよ。』
「そっか、それはよかった。コーヒー淹れたけど飲む?」
『うん!』
温かいコーヒーを受け取る。
夜は昼間より一段と冷えているため、一口飲めばお腹の中からじわじわと温まって心地よかった。
『次の出航の準備は大丈夫?』
「もう大体荷物は積み終わったよ。あとは科学チーム待ちかな、なんかまたいろいろ作ってるんでしょ?なに作ってるの?」
『ふふふ、完成してからのお楽しみです。』
「えー。」
口を尖らせて拗ねたような顔をした羽京くんに私は声を出して笑った。羽京くんも同じように笑う。
『・・・先輩たちと薬を作ってるときね、なんだか昔を思い出して楽しかったの。またあの頃に戻ってきたんだなぁって。』
「うん、すごく楽しそうな声が聞こえてた。」
そういえば、と羽京くんは続けた。
「あの男の先輩には気を付けなよ。・・・仲良いの?」
『ああ、研究室で何かと気にかけてくれた先輩なの。すごいんだよあの人、彼の論文はユニークさも持っていて読んでいておもしろいし、私にはない観点から研究してて・・・。』
「聖が尊敬しているのはわかったけどさ、あの人は確実に君のこと狙ってたよ。」
『・・・。』
「何さ。」
ムスッとした顔をした羽京くんを見れば不機嫌な声が聞こえた。
なるほど、これは。
『えへへ、やきもち?』
「・・・。」
『いひゃひゃひゃひゃ!!!』
ムスッとした顔からいつもの笑顔に戻ったと思えば頬を思い切り抓られた。
痛い、ちぎれちゃうぅぅ。
「聖ってほんと僕のこと弄ぶの好きだよね。この天使の皮を被った小悪魔め。」
『えぇ・・・羽京くんそんな風に私のこと見てたの・・・?』
というか羽京くんも人のこと言えないよね・・・。
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まっちゃ(プロフ) - コメント失礼します!ネタバレになってしまうので内容は書けませんが、番外編、とても面白いです!これからも弥さんの無理のならない範囲で、更新頑張ってください!影ながらも応援しています! (2021年4月18日 1時) (レス) id: 064c02c015 (このIDを非表示/違反報告)
弥(プロフ) - わわわわわさん» 申し訳ありません。番外編のリクエストは受けつけていないんです。また番外編を書く機会があればぜひ書かせていただきます。 (2021年4月17日 22時) (レス) id: 28d3fee7a9 (このIDを非表示/違反報告)
わわわわわ - 番外編のリクエストです。耳攻めされたと羽京がドS化したお願いします。 (2021年4月17日 22時) (レス) id: 9c9d4f1707 (このIDを非表示/違反報告)
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