２０３ ページ4
・
『アマリリスちゃん、私が囮になって敵を引きつけるからあなたはこのまままっすぐ隠れ家へ行って。』
「！？嫌よ！！」
『敵はもう真後ろまで来てる。このまま隠れ家へ向かえば場所を教えてしまう事になる。隠れて迂回する余裕もない。』
もうこの状況だと、船を漕いで洞窟に向かう余裕もないだろう。
『私は泳ぎが下手だから、でもアマリリスちゃんなら私より確実に早く泳げる。お願い。』
「っ。」
涙を流しながら首を横に振るアマリリスちゃん。
そうだよね、一気に仲間がいなくなるのは心細い。でも仕方ないの。
コハクちゃんも銀狼くんもやられた、守れなかった。
だけどまだアマリリスちゃんが残っている・・・！
『ここはお姉ちゃんに任せて、行きなさい！』
「聖！！」
アマリリスちゃんから放れ走り出す。
後ろを振り向けば、彼女と目が合った、けどちゃんと前を進んでいる。
(いい子ね。)
スカートを破き、走りやすいようにする。
破る際に足に取り付けていた小さなポーチを開いた。スカートの中に隠れるようにしていたけど、案外バレなかったなぁ、これ。
(私の足で、どこまで敵を引きつけれるかわからないけど・・・。)
ようは目立てばアマリリスちゃんを完全に逃がせる！！
ポーチからマッチを取りだした。
「あそこだ！！」
『っ！』
敵に姿をとらえられる。ちょうどいい。
ソレに火をつけ、迫る敵の方へと投げた。
瞬間閃光と共に強烈な破裂音が鳴り響く。
「うわあああっ！！」
「なんだこれ！！？妖術か！？」
(この島でも竹は生えているのに、知らないのね。)
また火をつけ敵の方へ投げる。再び強烈な破裂音と共に敵の悲鳴が上がる。
ここに来る前にあらかじめ作っておいたのだ、爆竹を。市販のおもちゃよりは強めの。
あたりを見回せば破裂音と閃光で敵は皆こちらの位置を把握している。
陽動は成功した、これならアマリリスちゃんを逃がせる！！
爆竹を投げながら森の中を走り抜ける。なるべく洞窟から遠い所へ！！
(・・・！爆竹が、もう・・・。)
弾切れ・・・あとはもう全力疾走だ！
「妖術に気を付けろ！！」
「待て！！くっそ足速ぇ！！」
『はっ、はっ・・・。』
あはは、もっと体力づくりしておけばよかったな。
私の真上に影が差す。
キリサメ―――！！
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 301人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柊渚(プロフ) - めっちゃ面白いです！！更新頑張ってください！！ (2021年4月5日 22時) (
レス) id: ebf2823d1c (このIDを非表示/違反報告)
小豆 - この作品大好きです！応援しています！ (2021年3月30日 17時) (レス) id: cf49d2eead (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
