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目の前に完成された武器を前に沈黙が続く。その沈黙を破ったのは羽京くんだった。
「・・・道具に神も悪魔もないよ。使い方を決めるのは人だからね。」
羽京くんは顔を俯かせ、拳を強く握った。
「ごめんみんな、こんな状況で綺麗ごとはやめろって言われるだろうけど、やっぱり僕は、できれば誰も殺したくはないんだ。だからギリギリまで・・・。」
「綺麗ごと?はっはー、それは違うぞ羽京!
不殺は綺麗ごとでも倫理でもない。身内を殺された者の遺恨は永久に消えん。敵すらも手に入れる!そのためには殺さない!!それこそが合理的なのだ・・・!!!」
龍水くんの言葉に羽京くんは安堵の笑みを浮かべた。
「そもそもブチ殺せてたまるか、こんなライフリングも彫っちゃいねえ突貫工事の銃でよ。精度も威力も気休めの御守りみてえなもんだ。
まあうまくいきゃ麻酔銃にはなるな!」
「え麻酔なの??」
「足止めにザコ銃くらわそうが石化装置奪えんなら固めて溶かして全快だ。実質麻酔銃と一緒じゃねえか!」
わっるい顔を浮かべてニヤニヤと笑う千空くん。
あまりの悪役顔に思わず引いてしまう。
「いやまあそれはそうだけど・・・。」
『発想が合理的すぎてマッドサイエンティストみたいになってきたね、千空くん・・・。』
「昔からだぞー!!」
龍水くんが拳銃を手に取った。
「フゥン、怪しまれずに持てる拳銃サイズにしたのはわかるが、誰が使う?拳銃は未経験者には至難だぞ。」
『扱える人なんて日本には・・・。』
周りを見回して一人の石像に目が言った。
「あ」と全員の声が重なった。
彼に服を着せ復活液をかければ、復活した彼は混乱した顔をしていた。
『おはよう陽くん。さっそくお仕事だよ。』
「ククク現職のお巡りが拳銃持つってんなら、羽京、テメーも文句ねえだろが!!」
「いや!ヤベーだろこんなヤベー奴にヤベー武器持たしたらよ!!」
クロムくんが反対しているうちに、陽くんは拳銃を持った。
まるで新しいおもちゃを買ってもらった子供のような顔である。決していい顔ではない。
「あ・・・あの顔・・・。」
「おぅ顔見ただけで分かんだろがろくでもねえって!!」
「まあそ〜うでもないのよ、承認欲求強すぎの陽キャってだけだから陽ちゃんは。」
「ある意味一番御しやすいわな。」
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柊渚(プロフ) - めっちゃ面白いです!!更新頑張ってください!! (2021年4月5日 22時) (レス) id: ebf2823d1c (このIDを非表示/違反報告)
小豆 - この作品大好きです!応援しています! (2021年3月30日 17時) (レス) id: cf49d2eead (このIDを非表示/違反報告)
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