太陽は月を取り戻す

１７９ ページ31

・


　 黄名子とジャンヌがパスをしている様子を眺める

　「今回はお前がいるから、心強いよ」

　 隣に立つ神童がそういった

　「そうか・・・」

　 俺は神童と目を合わせられず素っ気なく返してしまう


　 馬鹿か、これじゃ拗ねているようなものじゃないか


　 狩屋の言葉を思い出す

―――霧野先輩でもジェラシーを感じることってあるんですね


　 狩屋の言う通り・・・やっぱり、俺は神童に

　 あいつがせっかく代わってくれたのに、俺は一体・・・


　「ああ・・・！」

　「！」

　 ボールがこっちに転がってくる

　 それを拾い上げた

　「ごめんなさい」

　「はい」

　 ジャンヌにボールを渡す

　「ありがとう」

　「どう？おもしろい？」

　「えっ！あ・・・おもしろいです・・・

　 なぜか相手の気持ちが伝わってくる気がします

　 ボールには相手の心を繋ぐ見えない糸が繋がっているのかもしれませんね

　 これが、サッカーなんですね」


　 ジャンヌにサッカーのたのしさが伝わったみたいで、俺は微笑んだ


　 見えない糸か・・・そうかもしれないな


　 するとジャンヌは見張りの兵士の所へ行く



　「もう見張る必要はありません、この人達を自由にしてあげてください」

　「え！？」

　「良いのか？」

　「ええ、私が思うにですね・・・敵のスパイではありません」

　「何故だ！どうして断言できる！」

　「ここへ来る途中見たんです、空に不思議な光が輝くのを

　 そしてこの人達が現れた・・・


　 もしかすると、これは神が使わされた救いの手なのかもしれませんし！」

　「こいつらが・・・」

　「それが神のご意思ならば、彼らは私と一緒に行く運命のはず・・・」

　 その後、俺達は無事に解放された


　 だけど彼女に本当の事を言わなくちゃいけない

　 俺達は神の使いなんかじゃないと




・

１８０→←１７８

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す