月は共に輝く (ページ42)

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　神童キャプテンがそこにいる

　また俺の中で負の感情が沸き起こる

―――俺、キャプテン失格です・・・みんなを引っぱる事、できませんでした

―――天馬、お前にならできる、俺には分かる

―――え・・・

―――お前の武器は、そこにある

　神童キャプテンは俺の胸元を指差す

―――俺の中に・・・？サッカーが好きだという気持ち・・・

　神童キャプテンは微笑んだ

　「気持ち・・・」

　『立て』

　「！」

　夜月が俺の腕を掴んで立たせる

　「天馬、見てみろ」

　円堂監督の目線の先を辿る

　そこにはボロボロになった皆

　肩で息をして、痛みに耐えている皆の苦しそうな顔

　「・・・」

　「これが、お前のやりたかったサッカーか」

　「俺のやりたかった・・・」

　ちがう・・・こんなんじゃない

　俺がしたいのは・・・

　皆とのこれまで一緒にやってきたサッカーを思い出す

　そこには、今みたいな苦しそうな顔をした人はいない

　いるのは

　サッカーを心の底から楽しむ笑顔のみんな

　「・・・！俺がしたいのは・・・！」

　ようやくわかった

　「分かったな！」

　監督がにっかりと笑う

　「はい！」

　皆の傍に行く

　そして深く頭を下げた

　「すみません！俺間違っていました・・・本当のサッカーを取り戻すには

　俺達が本当のサッカーをしなくちゃいけなかったんです

　いつも通り・・・だから・・・！」

　「いつも通りねぇ・・・」

　「！」

　顔をあげる

　声の主、倉間先輩に目を向けると彼は笑った

　「やろうぜキャプテン」

　「倉間先輩・・・！」

　「全員覚悟は決まっている」

　「俺達はお前と本当のサッカーがしたいんだ」

　「俺達の革命は、お前のまっすぐな気持ちから始まったんだからな」

　皆は俺に信頼の目を向けてくれた

　「気持ち・・・」

　神童キャプテンのいる方に目を向ける

　微笑んでくれる神童キャプテン

　(気持ちでみんなを引っぱる・・・！)

　そう決意したと同時に

　優しい風が俺達を包んだ

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