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私達は急いで病院へ向かった
剣城の兄貴になにかあったらしい
「廊下は走らないでください!」
通りすがりの看護師の言葉も無視して走る私達
着いたのはリハビリテーション室
「兄さん!!」
「京介・・・」
中に入ると、剣城の兄貴・・・優一さんがリハビリをしていた
私達が来たのを見て、車椅子に乗る優一さん
「なにかあったのか?急に呼ばれたから・・・」
剣城が優一さんに聞いた
何かあったのかと急いできたが、当の本人はピンピンしてる
寧ろどこか喜んでいる気がする
「京介、俺、手術を受けられることになったんだ」
「え・・・」
驚く剣城
優一さんのリハビリに付き合っていた男の看護師が説明する
「誰かは分からないが、支援金を集めた人がいてくれてね
優一くんの手術に使ってほしいそうだ」
剣城は目を見開く
「じゃあ・・・じゃあ兄さんの足は・・・!治るんですね・・・!」
「ああ、手術のあとリハビリを続ければ歩けるようになるだろう」
「・・・!・・・っよかった・・・」
剣城は膝をつく
「京介・・・」
「本当に・・・よかったっ」
「・・・今まで、俺のために辛い思いをさせて悪かった」
「そんなことっ」
首を振る剣城の肩に手を置く優一さん
「時間がかかるかもしれないが、俺はもう一度フィールドに立ってみせる」
「!」
伏せていた目をようやく彼に向けた剣城
「決勝戦は誰のためにでなく、自分自身のためにプレイして来い
お前の大好きなサッカーでな」
「兄さん・・・、・・・ああ!」
力強く頷くチームメイトの兄弟愛を後ろで見守る私と松風
嬉しくもあり、背中はくそかゆくもある
「よかったな、剣城」
『・・・だな』
私達は静かにそこを出た
松風は神童先輩の所へ寄るらしいから私達はそこで分かれた
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