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『じいちゃん、入るよ』
練習を終え、またいつものように病院に行く
「おう、来たか」
「久しぶりだな」
『・・・響木さん』
病室に入ると響木さんがいた
『・・・珍しいね』
「なに、昔からの友人の見舞いだ、おかしいことはないだろう」
『・・・』
病室にグラサンをしたじじい二人
異様な光景だ
二人の手元をみると将棋をしていたみたいだ
「正剛、おめえ腕上げたな」
「身を潜めている間暇だったからな」
『・・・』
響木さん、なかなか強いな
と彼のおいていく駒を見る
「おいてめぇちったぁ手加減しろ」
「手加減はお前が一番嫌いな言葉だろ、王手」
「ぐぬがあああっ」
『じいちゃんうるさい』
やはりじいちゃんは負けた
「もう一回!もー一回!!」
「負けず嫌いは変わらねえな」
そしてまた駒を進める二人
『・・・』
私をのけ者にするなあああっ・・・!!
と、心の中で叫ぶも二人に届くわけもなく
『ちっ』
久々の友人との再会だ
放っておこう
聞こえてないだろうけど一言いって病室を出た
『少しくらい話しかけたっていいじゃねえかよ・・・』
ぶつぶつとイラつきを抑えながら廊下を歩く
「うわっ」
『お』
曲がり角で誰かに、いや、何かにぶつかった
「ごめんね、大丈夫かい?」
『あ、いえ・・・』
ぶつかったその人をみる、車椅子に乗っていて、口元にほくろのついた
『剣城・・・の、ドッペルゲンガー?』
「違うよ!君、白石夜月ちゃんだよね?京介と同じチームの」
『・・・あ、剣城の兄』
そういえば、後ろ姿は何度も見た事あるけど
顔はあまりはっきりと見た事無かったからな・・・分からなかった
(・・・似てるけど、剣城よりは目つきが良いな)
「京介からは話を聞いているよ、同じクラスなんだよね
いつも弟がお世話になってるね、ありがとう」
『あ、い、いや・・・お世話になってるなんて
どちらかというと私があいつをこき使っているというか・・・』
「え?」
『いえ、なんでも』
「ふふ、あいつの言った通り面白い子だね」
『・・・あの、そういえば今日剣城は・・・練習来なかったんですけど』
「え?そうなのかい?何も聞いてないけど」
『え・・・そ、ですか』
あいつ、なにしてるんだ?
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