月は太陽になる

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　 今日は早くに目が覚めてしまった

　 まだまだ時間がある


　(結局昨日は練習していなかったし、走りにでも行こう)


　 ジャージに着替えサッカーボールをもって静かに家を出た

　 ここから河川敷まで走って、そこで少し練習してまた走って戻れば

　 いつもと同じ時間に家を出ることができるはずだ


　『・・・？』

　 河川敷が見えてきた


　 でもどうやら先客がいたようだ

　(一人、なら問題ないか)

　「お、やっぱり来たな！！」

　『！？』


　 近ずくにつれて、その人物が円堂監督と分かる

　『・・・』

　「待て待て待て！どーして引き返すんだよーサッカーしに来たんだろ？」

　『ただのジョギングです』

　「じゃぁそのボールは何だ」

　『・・・拾った』

　「お前、嘘下手だなぁ」


　 腕を引かれて河川敷へ降りた

　 私の持っていたボールを持つ監督

　「・・・うん、相当使いこまれているな、いつもここで練習しているのか」

　『・・・』

　「沈黙は肯定だぞ」

　『・・・何の用ですか、私を待っていたみたいですけど』

　「お前と少し話したくてな」

　『・・・』

　「よし！」


　 監督はゴールの前に立つ

　 そしてボールを私の方に転がした

　「シュート打って来い！お前の本気で！」

　『・・・』

　 今すぐにでも帰りたいところだけど

　 打ってくるまで帰してくれなさそうだ、こいつ

　『・・・』


　 ボールを蹴りあげる

　『フレアバスター』

　 力強く打ったボールは炎を纏いながら監督へまっすぐと飛ぶ

　『！』

　 けど、あいつはそれを片手で止めた


　「・・・」

　(止めた、止められた・・・！片手だけで、必殺技もなしで・・・！)


　 信じられなかった

　 今まで、誰にも止められなかったのに

　「これがお前の本気か」

　『なに？』

　「これは、お前の技じゃないだろう」

　『・・・！』

　「なぜ自分のサッカーをしない、なぜ自分に嘘をつくんだ」

　『嘘？』

　「・・・このままだと、いずれ他の奴にも止められるぞ」

　『・・・』


　 ボールを私に渡し、監督はにっかりと笑った

　「練習、来いよ」

　『だったらチームを早く一つに出来るように頑張って下さい』

　「ああ！すぐにお前が来れるようにしてやる！」


　 監督はそう言って去った




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