弱虫ヒーロー３ (ページ45)

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貴女ｓｉｄｅ

轟「もう大丈夫だ」

　宥めるような彼の優しい声が耳に響く

轟「きっとオールマイトが倒してくれる」

貴『っ・・・』

轟「お前の憧れなんだろ？信じろ

　平和の象徴は絶対に負けない・・・

　お前の悪夢も、仇も、きっとすぐ終わる」

貴『うん・・・』

轟「だからそれまで、緑谷たちから離れるなよ」

貴『うん』

轟「何かあったら、ちゃんと”助けて”っていえ」

貴『うん』

轟「・・・じゃぁそろそろ切るな・・・」

貴『うん、ありがとう』

　ケータイを放す

轟「無事でよかった」

　電話の向こうで、彼が笑って気がした

貴『・・・はい、緑谷くん・・・ありがとう』

緑「ううん・・・よかったね」

貴『うん・・・』

　≪悪夢のような光景！突如として神野区が半壊滅状態となってしまいました！

　現在、オールマイト氏が元凶を思われる敵と交戦中です！

　信じられません！敵はたった1人！街を壊し！

　平和の象徴と互角以上に渡り合って・・・≫

貴『！』

　街頭テレビにオールマイトたちと先生の戦闘が映し出される

貴『・・・』

　「何これやば」「オールマイトボコられてなかった？」

　「うっわめっちゃやられてんじゃん！」

　「神野ってどこだっけ？」「明日パパ会社休みかも・・・」

　「他のヒーローは何やってんだ！？」

　「最近敵暴れすぎじゃね？」

　「むしろヒーローがやられすぎな気ィする・・・」

　「たるんどる！！なんつってまー実際あると思うわ」

　「いやあしかし結局今回もオールマイトが何とかするっしょ！」

　テレビを見ている周りの人達が口々に言う

　生唾を呑む

　誰もわかっていない

　オールマイトさんのピンチに

貴『オールマイトさん・・・』

　両手を組み、力強く握る

　先生がまた強力な”個性”を使って攻撃した

貴『ああ！！』

緑「オールマイト！！」

　オールマイトさんは避けなかった

　自分の後ろに、瓦礫の下敷きになった一般人がいた

　まともに当たった

　土煙が待っている

　そして

　土煙がはれ

　報道のカメラが映したのは

　半壊滅した街

　オールマイトさんが守った部分だけが無事だった

　だけど

貴『・・・え・・・』

　そこに、いつものオールマイトさんの姿はなかった

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