弱虫ヒーロー３ (ページ43)

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貴女ｓｉｄｅ

　周りは戦いの音でとてもうるさいはずなのに

　とても静かに感じた

　何も聞こえない

　何も見えていない

爆「クソ白髪女！！ちったあ手ぇ貸せや！！」

　爆豪くんが敵たちに襲われている

　助けなきゃ

　分かってる

　分かってるよ

　でも

貴(お母さん・・・)

　だめなの

　動けないの

　真っ暗で何も見えない

　足が動かない

　泣き叫んで、喉が痛い

爆「たかが過去の事で！！泣き喚くんじゃねえ！！膝をつくな！！立てカス！！」

貴『―――・・・』

爆「立て！！」

貴『・・・無理、だよ・・・』

　なにもできないんだ

　だって、だって私はたくさん殺したから

　君を助けることも、できない

　それどころか、足も動いてくれない、震えが止まらない

　怖い

　怖くて怖くて堪らない

　底なしの沼に引きずり込まれるように、体が重くて、立ち上がれない

　ああ、私は結局・・・なにも出来ない弱虫なままなんだ

爆「弱音なんか吐いてんじゃねえ！！

　過去がなんだ！母親がなんだ！！そんなん知らねえよ！！死ね！！

　だけどお前が今なろうとしているのはなんだ！！敵か！？ちげえだろカス女！！」

貴『なりたい・・・もの・・・』

　突如、さっきまで私がいたところから大きな音を立てて壁が壊された

　大きな氷の壁

貴(轟くんだ)

　私達の上を飛んでいるのは

　飯田くん、緑谷くん、切島くん

　壁の方には

　まっすぐと、でも、優しくて明るい瞳で私を見る

　八百万さんと轟くん

爆「ヒーローになりてえんなら立て！！不破！！」

貴『――――・・・！！』

　足が動く

切「来い！！」

　爆豪くんに左手を伸ばす切島くん

　そしてもう片方は私に伸ばされていた

死「刹那！！」

　死柄木が私に手を伸ばす

貴『あああああっ！！』

　私はまだ、死にたくない！！

　 ”破壊”の衝撃波を使って高く飛ぶ

　爆豪くんも爆破で高く飛んだ

　そして

爆「バカかよ」

貴『ありがとう！！』

　仲間の手を強くつかんだ

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