月々の恋【ツキウタ。短編集】

【月城】頑張って（真夜様リク） ページ40

月城ｓｉｄｅ



　 同じ芸能事務所で働いているA

　 番組企画など、誰もが認める敏腕社員の彼女


貴『か〜な〜で〜！！』

奏「はいはい」


　 深夜

　 同居をはじめて５年が経つ彼女はお酒の入った缶を片手に僕に泣きつく

　 昔からどうも、お酒を飲むとこれだ


　 仕事から帰ってくれば突然泣きつかれ

　 それからずっと右腕に抱きつかれた状態で愚痴を聞かされている

貴『聞いてるのかメガネェ！！』

奏「はいはい、聞いてますよ」

貴『まったくあんの禿げ頭ああ！！』

奏「ご近所迷惑、叫ばないの」

貴『奏が冷たい！！裏切者ぉ・・・おまえもあのハゲ上司になるんだ、ぐず』

奏「怖いこと言わないでくれるかなぁ・・・」


　 どうやら今回は上司に対しての不満が爆発したらしい

　 内容はまだ話してない

奏「あ、こら飲み過ぎだよ」

　 また新しい缶を開けたA

　 それを没収すると眉間に皺を寄せて泣きだす

貴『私から酒を取るなああ！はげー！はーげはーげ！』

奏(怒ってもいいかなぁ・・・)


　 僕の膝に頭を乗せたAは今度は弱々しく話した


貴『・・・私だって頑張ってるんだよ・・・？』

奏「うん」

貴『なのに、上司に責任押し付けられて・・・ぐす』

奏「がんばってるの、僕は知ってるよ？

　 会社では弱音も吐かないで、

　 後輩さんたちにもカッコ悪いところ見せないように

　 必死に頑張ってるもんね」

貴『・・・』

　 彼女の艶やかな黒髪をなでる

奏「また明日も頑張ってみようよ

　 大丈夫、またこうして僕に甘えてもいいから」

貴『迷惑じゃない？』

奏「ふふ、あんなにカッコイイ君が、今こうして僕に甘えてくれる

　 僕にとってそれはとても嬉しいことなんだから

　 我儘だっていって良いんだからね？」

貴『・・・うん、頑張る・・・』

奏「頑張れ」

貴『奏も』

奏「ん？」

貴『甘えていいからね』

奏「・・・うん」


・

「ところで今日は何があったの？」

『責任押し付けられた挙句セクハラされた』

「・・・」

『奏？』

「あしたちょっと社長と話してくるよ」

『？んー』



・

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