月々の恋【ツキウタ。短編集】

【葉月】夏は好きだ（ヲタコちゃん様リク） ページ33

葉月ｓｉｄｅ



　 小学校に入って５回目の夏が来た



　 夏が嫌いだ



　 熱いし


　 日差しが眩しい


　 唯一好きなのは夏休みとか祭り、あとカレー


　 ・・・カレーは季節関係ないか・・・？

　 いやでも夏野菜とか


陽「あちぃ・・・」


　 生憎、俺の家は夏休みに母の実家へ帰省・・・というものがなく

　 旅行する予定もなく


　 無駄に立派なお寺の家でだらだらするだけだ


　 更に今日は一人で留守番

　 兄貴たちは部活とか学校、親父たちは本業の仕事でどっかいった


陽「飽きた・・・」


　 ゲーム機の電源を切った

　 暇だ

　 暇すぎる





　 カランカラン・・・



陽「・・・？」


　 今鈴の音が聞こえたな


　 参拝者か？この時期に？



　 なんとなく気になって物陰からその参拝者を見る



陽(女の子・・・)


　 黄色のワンピースが目立つ


　 手を合わせてその子は誰もいないと思ってか


　 願い事を口に出した




貴『お小遣いアップしますように！』


陽「ぶっ」


貴『！？』


　 真剣な顔で何を願うのかと思ったらお小遣いかよ！


　 俺は思わず笑ってしまった

　 こんだけ笑えばそりゃバレる

貴『な、ななああ！！いつからそこに！！何で人いるの！？』

陽「そりゃここ、俺の家だし」

貴『あ、なるほど

　 じゃなくって！！わああお願い！！今のきかなかったことにしてええ！！』


　 顔を真っ赤にしながら俺に口止めを要求したその子


陽「んー、じゃあさ！俺の暇つぶし付き合ってよ」

貴『暇つぶし？』

陽「そ、今家俺だけでつまんないんだよ〜

　 来いよ、母さんスイカ切っていったから一緒に食べよ」

貴『スイカ！！』

陽「知り合いのじいちゃんからおすそ分けで貰ったんだ

　 ブランド品だから、甘くておいしいぞ〜」

　 俺のその言葉に生唾を呑むその子


貴『た、食べたい！！』

陽「よっしゃこっちこっち」

　 その子を家の中に案内する


陽「名前は？」

貴『宇奈月A』

陽「宇奈月？みたことないな」

貴『私県外から来たの、お父さんが奈良の人だからいま帰省中なんだ』

陽「なるほど」

貴『あなたは？』

陽「俺は葉月陽

　 さっき言ったけどこの寺が俺の家、１１歳」

貴『お、同じ年』



　 自然と俺たちは仲良くなった



　 次も、そのまた次も




　 Aは俺の所に遊びに来てくれた




　 太陽みたいに笑って




・

２→←【如月】【師走】あっちこっち（弥生の鶯（やっちゃんの双子の妹（仮））様リク）

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す