月々の恋【ツキウタ。短編集】

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貴女ｓｉｄｅ



貴『・・・で、わ、わかったかな』

新「バッチシ、めっちゃわかりやすかった」

貴『よかった・・・』


　 新君、手強かったな・・・


新「ん」

貴『へ？』


　 いきなり渡されたイチゴ牛乳


新「授業料」

貴『・・・ふふ、ありがとう』

新「・・・へー・・・」

貴『？』

新「Aさんってそんな可愛く笑えるんだ」

貴『へっ！？』

新「葵の前でしか笑わないのかと思ってた」

貴『！？』

新「分かりやすいなー」


　 わ、私、そんなに・・・

新「・・・ま、大丈夫だと思うけど、がんばれよ〜」

貴『え？あ、う、うん』


　 席に戻って眠りだした卯月君


　 ミステリアスって言われてるけど


貴『・・・ふふ』

　 イチゴ牛乳好きとか、意外とかわいいところあるんだなぁ



　 ストローをさしてイチゴ牛乳を呑んだ





葵「・・・」






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　 私の放課後は、大体図書室にいる


　 落ち着くし、静かだし、本あるし



　 この時間は人はもう来ないからね



貴(またこの本読もうかな)


　 本を棚から出したとき、パラッとなにかが本から落ちた


　 貸出カード、ちゃんと入ってなかったんだ


　 拾ってちゃんと戻そうと手に取ると



　 ふと知っている名前が私の名前の次に書かれていた


　 皐月葵


貴『・・・』


　 皐月君も、この本読むんだ


貴『・・・』


　 そのときは、なんとなく気になって

　 私が今まで借りた本の貸出カードをすべてみた




　 信じられなかった




　 私の名前の次に




　 必ず彼の名前が書かれていたから



貴『・・・！』

　 確かに、中には私がおすすめしたものもあった


　 だけど、一度も話に出したことのないものもたくさんあって

　 これは、偶然？


　 それとも・・・



　 いや、期待してはダメだ



　 期待するだけ悲しくなるのは嫌だ




　 私は一冊も読まずに、図書室を出ていった




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