ばれてはいけない。2 (ページ10)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:61,739 hit

５０ページ10

「ほな勝手にしや。

もう俺は先言ったで」

冷たい声

交わらない視線

『っ…』

声を殺して涙を流しても

彼は振り返ってくれなかった。

私は彼と付き合ってから

初めて彼を怒らせてしまった。

・

事の発端は

私にあった。

人数合わせの合コン

そんなの大学生なら一度くらいは経験があって

もう何度目か分からないその誘いは

彼氏ができたからと断るも

「だれ？」

…いえない

「インスタとかでも見た事ないけど」

…見せれない

相手が相手なだけに

名前や写真を晒すわけにはいかず

断る理由がなくなってしまい、

しぶしぶ行くことになった。

お酒を飲まなければ大丈夫。

すぐに抜ければ大丈夫。

そんな甘い考えで

仕方なく了承した。

・

『じゃあ私そろそろ…』

「え〜、いーじゃんまだいてよ」

『いや、この後予定が』

「ほら飲みなって、そんな大事な用じゃないんでしょ」

男に腕を掴まれ

抜けれない

まずいな…

もういっそ康二くん呼んじゃう？

そんなことも思ったけど

色んな意味で迷惑がかかるだろうと呼ばなかった。

「一杯だけ飲んでよ、そしたら満足するから」

そう言うなら

一杯だけ飲んで帰ればいいやって思った

また

私の甘い考えでその場に流された。