ばれてはいけない。2 (ページ21)

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『康二くんは

コーヒーだよね』

向「あ、おん、ありがとう」

ｽﾞｽﾞっと真っ赤になった鼻を啜る康二くん

それ以外の言葉は交わさず

ｺﾄﾝ…

テーブルに馴染みあるマグカップを差し出す

向「これ捨ててへんかったんやな

持っててくれてありがとう」

『捨てないよ。

何も捨ててないし、全部持ってきたよ』

向「ありがとう

なんか、久々やで距離感掴めんなぁ」

気まずそうに康二くんが笑うので

私も何だかむず痒くなってきた

『…で、こんなに寒いのにあそこで何してたの？』

向「ちゃんと話したくて」

『…そう、だよね

連絡、返せなくてごめんね』

向「それは、、ええんやけどなっ

いやっ、でも悲しかった、けど、

そうじゃなくて、えっと、えっとな」

何話したら…とテンパる康二くんがやっぱり

可愛くて

愛おしくて

懐かしかった。

『康二くん。

正直に言うね。』

向「え、う、ん…」

『私…

分からないの、

どうしたらいいのか…分からない』

向「……そう、やんな。

わからんよな。」

しばらくの沈黙の後

康二くんはこう言った

向「俺は…

…

…グループのこと、Aの気持ち

まず、置いて、

俺の気持ちとして

俺は一緒にいたい。

この先もずっと

諦めきれない

Aのこと。

俺はAを愛しとる。

それが俺の答え。

俺の気持ち。」

まっすぐな目でそう言う彼をみて思った。

私はこの人のことを一生諦めることができないんだろう。

私は

この人と出会って

全てが変わった。

幸せな時をくれた

辛さも味わった

だけど、何事にも何者にも変え難い

康二くんとの思い出が

康二くん自身が

どうしようもなく

愛しい。

『…康二くん…

ううん、向井康二さん

私は

あなたに全てを捧げたい。

…そう、思っちゃった…

………康二くんしかいや

康二くん、ちゃんと向き合うから

お願い、私を離さないで…っ』

言い終わって

ぶわっと涙が溢れた

康二くんへの想いと同時に。