＿ ページ31
『泣いてたって言うても、ちょっとだけな？』
「…なんか、あったん？」
『相方と、ちょっとうまくいってなくて。仲悪いわけではないんやけど…やりたいネタの方向性とか、違ってきてて』
「そうやったんや…ごめん、気づけなくて」
『謝らんといてよ。大阪の先輩に相談して、普段からそういう目で見られるのも嫌やし、かといって全然知らん先輩に相談するのも嫌やったから…ケツさんに話、聞いてもらってん』
果たして、その人選は合っているのだろうか。
相方が言うべきことではないが、そこが1番心配だった。
『ケツさんってさ、話聞いてんのか聞いてないのか分からんやん』
「あぁ…そやな」
『色々爆発して泣いてもうたけど…笑いながら、"まぁなるようになるだけやから"って言われて』
「…なんかほんまごめんな…」
『ううん。逆に、めっちゃ救われてん。そっか、なるようになるだけや、と思って。私は、やっぱり今の相方と漫才してたいから』
ケツは本当に、かける言葉が何も思いつかなかっただけだと思う。
でもそんな中で絞り出した言葉が、君を救ったのなら、それはそれで良かったと思うことにしよう。
「また今日の夜、ゆっくり話聞くからな」
『うん、ありがと。…はい、コーヒーどうぞ』
「あんがと……って今何時や！？やべ！戻らんと、次の出番や！！！」
『えっ！？そんな時間ないのに来てくれたん！？』
「とりあえずコーヒー貰うわな、あっっっつ！！！！」
『そらそうやろ、ホットやもん』
「ごめん、ちょっ、俺もう行くわ！」
『うん、行ってらっしゃい！』
玄関で慌ただしく靴を履いていると、ねぇ、と君に呼び止められた。
本当に時間がやばい。
「ん！？」
『なんでそんなに、私のこと心配してくれるん』
「Aのことが好きやからに決まってるやろ！！！」
『………えっ？』
「…………え？」
『あっ……あれやんな、幼馴染として…』
「あっ…そうそう、どうしたん、顔真っ赤やで」
『いや皓平くんも顔真っ赤やで』
言われて自分の頬に手を当てる。
確かにものすごく熱かった。
『…じ、時間！皓平くん、はよ行かんと！』
「あ、そうや！ごめん、またあとで！！」
勢いよくドアを開けて、君に手を振って、駆け足で劇場に戻る。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 286人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いと(プロフ) - あすさん» リクエストありがとうございます！設定承知いたしました(^^)だいぶお待たせしてしまうかと思いますが素敵なものが書けるように頑張りますのでよろしくお願いします！ (5月12日 13時) (
レス) id: e04103a2be (このIDを非表示/違反報告)
あす(プロフ) - リクエスト失礼いたします。krmさんで付き合っていて道中でkrm見かけて勇気出して声をかけにいこうとしたら隣には綺麗な女性いて自信をなくしてkrmさんから離れていこうとするのを引き止められるお話読んでみたいです。よろしくお願いいたします。 (5月12日 8時) (レス) id: 1458cfae01 (このIDを非表示/違反報告)
いと(プロフ) - 神楽さん» リクエストありがとうございます！高校生設定かしこまりました！誰オチでも大丈夫ですかね？(><)できるだけ長めのお話書けるように頑張ります(^^)！ (4月29日 12時) (レス) id: e04103a2be (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - myrkとlcdの高校生設定で、友達から段々発展していくお話読んでみたいです！長編だと有難いです…！ (4月29日 3時) (レス) id: 4f1d6e068e (このIDを非表示/違反報告)
いと(プロフ) - ユカさん» リクエストありがとうございます！遠距離のお話好きなのでありがたいです(^^)笑 お時間かかりますが書かせていただきますのでよろしくお願いします！ (4月28日 15時) (レス) id: e04103a2be (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いと | 作成日時：2024年3月6日 22時
