さよなら愛しのバンドマン＿Kohei_T ページ14
2022年 秋 大阪
*****
彼との出会いは、暑苦しかった夏も終わり、風が少しだけ肌寒く感じるようになった頃だった。
働いている楽器店でカウンター業務をしていると、長身の男性客から、すみません、と声を掛けられた。
「はい」
『あのギター…持たしてもらってもいいっすか』
「はい、もちろんです、どうぞ。良かったら弾いてみてください」
『ありがとうございます』
嬉しそうに、大切に、ギターを手に取る彼の横顔を見て…この人は絶対に優しいひとだ、と直感した。
そして彼が奏でた音色は、とても心地よかった。
知らない曲のはずなのに、私の耳と心に真っ直ぐ伝わってくる。
「…あの、お客様」
『はい』
「ギター…お仕事にされてます？」
『あぁ…まぁ一応、はい』
「やっぱり。すごく素敵です」
『ほんまっすか。嬉しい』
聴いていると、自然と身体がゆらゆら揺れる。
『…お姉さんも、音楽してます？』
「まぁ…私こそ、一応ですけどね。本業はここで、音楽は趣味程度です」
『ギターですか？』
「いえ、私はキーボードです。バンドの」
『おっ、バンド。俺もですよ』
「えっ、そうなんですか！？ギターで？」
『ギター、と…あとまぁ、作詞作曲も』
「すっごぉ〜！私は作曲なんて全く…あっ、すみません存じ上げてなくて」
『いやいや、まだ全然なんで。これからですわ』
そう言うと彼は、またギターを奏で始めた。
ということはこれは、彼が作った曲なのだろうか。
大きい手に綺麗な指。端正な顔だちだけど、笑顔は少年っぽくて可愛らしかった。
今振り返れば、私はこの時から既に…彼のことを、好きだったのだと思う。
その日から彼は、週に1度のペースで店に来てくれるようになった。
最初は音楽の話ばかりだったけれど、回数を重ねるにつれて、美味しかったものの話や、友達の話、休日の話…いろんなことを話すようになった。
彼の話はいつも面白くて、私のつまらない話にも声を上げて大袈裟に笑ってくれて、そんな彼と過ごす短い時間が私の日々の楽しみになっていった。
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いと(プロフ) - あすさん» リクエストありがとうございます！設定承知いたしました(^^)だいぶお待たせしてしまうかと思いますが素敵なものが書けるように頑張りますのでよろしくお願いします！ (5月12日 13時) (
レス) id: e04103a2be (このIDを非表示/違反報告)
あす(プロフ) - リクエスト失礼いたします。krmさんで付き合っていて道中でkrm見かけて勇気出して声をかけにいこうとしたら隣には綺麗な女性いて自信をなくしてkrmさんから離れていこうとするのを引き止められるお話読んでみたいです。よろしくお願いいたします。 (5月12日 8時) (レス) id: 1458cfae01 (このIDを非表示/違反報告)
いと(プロフ) - 神楽さん» リクエストありがとうございます！高校生設定かしこまりました！誰オチでも大丈夫ですかね？(><)できるだけ長めのお話書けるように頑張ります(^^)！ (4月29日 12時) (レス) id: e04103a2be (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - myrkとlcdの高校生設定で、友達から段々発展していくお話読んでみたいです！長編だと有難いです…！ (4月29日 3時) (レス) id: 4f1d6e068e (このIDを非表示/違反報告)
いと(プロフ) - ユカさん» リクエストありがとうございます！遠距離のお話好きなのでありがたいです(^^)笑 お時間かかりますが書かせていただきますのでよろしくお願いします！ (4月28日 15時) (レス) id: e04103a2be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いと | 作成日時：2024年3月6日 22時
