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お雑煮を食べ終わって、身支度して外へ出る。
頬を突き刺すような冷たい風に、思わず身震いしてしまう。そんな私を見逃さなかった彼が、自分の巻いていたマフラーを私に巻いてくれた。
「…透くんが寒いやん」
『Aちゃんが暖かかったら俺も暖かいから大丈夫』
「なにそれ、でもありがとう」
彼が巻いてくれたマフラーから、そして繋いだ左手から、温もりが伝わってくる。
近所の神社は、ほとんど人がいなかった。
元日に来ていたらきっと人混みに揉まれていただろう。こういうところは、休みなしで働いた人の特権だと思う。
参拝をして、おみくじを引く。
『吉やぁ』
「わたし中吉」
『おぉ、ええやん』
「吉と中吉ってどっちがええんやっけ？」
『うーん、分からんけど吉と中吉が一緒におったら大吉って言うてた』
「誰が？」
『神様』
「神様と会話できるんや…」
目を見合わせて、ふたり同時に吹き出す。
こんなのんびりしたくだらない会話も、人混みの中じゃ出来なかったかもしれない。
『あ、Aちゃん、あれ書こう』
「ん？…あぁ、絵馬？」
『うん。さっきしたお願い、絵馬にも書いて念押しとくわ』
神様に念押しとかするんや、とまた思わず笑ってしまった。会話できるのに、とぼそっと言うと彼もんふふ、と笑った。
「透くんがさっきしたお願いと同じこと書くんやったら、私もそうしよ」
"透くんと、ずっと一緒にいられますように"
私が書いたお願いごとをチラッと見た彼は、ふぅん、と呟いた。
私も彼の絵馬を覗き見る。
"Aちゃんが今年も元気で健康でありますように"
「……子供の健やかな成長を願う親やん」
『あはは、そんなんちゃうよぉ』
彼は、だって、と笑いながら続けた。
『ずっと一緒には、おるやん』
「…え？」
『別にお願いしなくても、ずっと一緒やん』
「あぁ…確かに…」
『でも病気とか怪我は、神様にお願いしといたほうええかなと思って』
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いと(プロフ) - ふみうかさん» コメントありがとうございます！更新頻度は意識的に間隔あけないようにしてたので、そこに触れてくださってありがたいです(；；)中谷さん私も毎回ニヤニヤしながら書いてました(笑)本当にありがとうございます、またいつか…！(^^) (10月1日 13時) (
レス) id: 5013af6899 (このIDを非表示/違反報告)
ふみうか - コンスタントに素敵なお話たちを更新されててほんとにすごいなと毎回思っていました。もちろんどの方の作品も好きですが、中谷さんの口調が本人そっくりすぎて読んでいてとても楽しかったです(笑)いとさんの書くお話がとってもだいすきでした！！またいつかの機会で…！ (9月30日 23時) (レス) @page50 id: b520771701 (このIDを非表示/違反報告)
いと(プロフ) - なちさん» コメントありがとうございます！辻さん実は最推しなので笑、そう言っていただけてとっても嬉しいです…！はい、ぜひ読み返していただけたらありがたいです(；；)♡ (9月27日 7時) (レス) id: 5013af6899 (このIDを非表示/違反報告)
いと(プロフ) - 東雲 櫂(しののめ かい)さん» コメントありがとうございます！私には恐れ多いくらいのお褒めの言葉を…本当にありがとうございます(；；)読み返していただけるとのことで、とっても嬉しいです！ (9月27日 7時) (レス) id: 5013af6899 (このIDを非表示/違反報告)
なち(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます。本当に素敵なお話をありがとうございました！♡ これからもずっと読み返します泣 いとさんの紡ぐ辻さん本当にリアルで毎回キュンキュンしてました📨♡ 改めておつかれさまでした♩ (9月27日 2時) (レス) @page50 id: dafc9fa177 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いと | 作成日時：2023年7月29日 22時
