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『ここ、ほんまになんっでも美味いから』
「うん、なんかそんな感じする！メニュー見ただけで分かる！」
『すごい才能やん』
「皓平くんがいつも頼んでるやつ食べたい」
『よしっ、じゃあ適当に頼むわ』
彼が注文してくれた料理が、続々と運ばれてくる。
「いただきます！……ん〜美味しい」
『せやろ？』
「ほんまに美味しい！ありがとう連れてきてくれて！」
『はは、変わってないなぁ、A』
「……どの辺が？」
『全部』
「…そうかな」
彼は噛み締めるように、変わってない、ともう一度言ってくれた。
「皓平くん、お酒頼んでもええ？」
『お、飲むんや』
「うん、好きよお酒」
『大人になってからのAは知らんからなぁ』
「確かに、私も高校卒業してから今までの皓平くんのこと全然分からん」
『これから知っていけばええか』
「…うん」
何気なく言われたそのひとことが嬉しくて照れくさくて、思わず目を逸らしてしまった。
"これから"があるんや、私たち。
そのあとは食べて飲みながら、お互いのこれまでをたくさん話した。
彼が話してくれる芸人さんの世界の話は、新鮮で本当に面白かった。
私も負けじと仕事の話をしたけれど、所詮普通のOLだ。でも彼はそんな私の話も、興味深そうに聞いてくれた。
2時間ほど経って、そろそろ帰ろか、ということになり、彼が駅まで送ってくれることになった。
正直、まだ名残惜しい。
充分すぎるくらいたくさん話せたのに、私は欲張りだ。
ゆっくりと並んで歩く。
すると彼が急に立ち止まった。
『A、見て』
「なに？」
『コンビニあるな』
「…コンビニ、あるね」
『アイス食べてから帰ろか』
「……うん！！」
あれでもない、これでもないとたっぷり時間をかけて選んだアイスを、コンビニの駐車場の隅っこで食べた。
『懐かしいなぁ。高校生に戻ったみたいや』
「うん、エモいわ」
『あはは、エモいな、確かに』
「良かった、皓平くんにまた会えて」
『俺も。良かった、声掛けて』
「うん、ありがとう」
『こちらこそありがとう』
彼はアイスを口いっぱいに頬張りながら、満足そうに微笑んだ。
そして私の頭を、大きな手でくしゃっと撫でた。
それはまるであの頃のように、私の中の恋心を強く強く刺激した。
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いと(プロフ) - 鈴さん» コメントありがとうございます！短編集のほうでもコメントくださった鈴さんですよね…？今回もとっっても嬉しいお言葉本当にありがとうございます(；；)何度も読み返して下さってるなんて嬉しすぎます。もちろんです、むしろこちらこそ引き続きよろしくお願いします！！ (6月8日 22時) (
レス) @page50 id: 5013af6899 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - もしよければこれからもいとさんの作品とご一緒させてください！！！！！！！！！ (6月8日 22時) (レス) id: 2fbfb927f5 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 完結おめでとうございますそしてありがとうございます！本当に素敵でした。私はいとさんの作品が本当に大好きで、短編集の方も何度も何度も読み直して、読み直しては切なくなったりほっこりしたり、キュンキュンしたりしています。 (6月8日 22時) (レス) @page50 id: 2fbfb927f5 (このIDを非表示/違反報告)
いと(プロフ) - いちごさん» コメントありがとうございます！あぁ嬉しいです…(；；)そのお言葉のおかげで書き終えられて良かったなと改めて思えました！本当にありがとうございます。 (6月8日 21時) (レス) id: 5013af6899 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - しっかり長編を終わらせてくれてありがとうございます。毎回ドキドキしながら読ませていただいてました。長編ならではの焦ったい描写がとても良かったです！ (6月8日 21時) (レス) @page50 id: f5a6eed348 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いと | 作成日時：2023年5月17日 20時
