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彼は何事も無かったかのように私に接してきた。
ほんまに別れたん？と周りに訊かれるほどに。
部活の休憩の時は、必ず私にドリンクを貰いに来る。マネージャーは他にもいるのに。
授業の合間に、教科書貸して、と私の教室に駆け込んでくる。私じゃなくてええやん。
練習終わり、一緒に帰ろか、と言ってきた時はさすがに断った。何考えてんねん。
そして私たちは最後の大会を終え、引退した。
引退したしヨリ戻そうや、と言われることを正直期待していた。
でも、なんにもなかった。
私と彼は、仲の良い友達のままだった。
卒業式。
結構モテていた彼は、数人の女子に囲まれて第二ボタンをせがまれていた。
それを遠目から眺めていると、彼がこちらへ向かって歩いてくるのが見えた。
『A、卒業おめでとう』
「…皓平くんもおめでとう」
『はい、これ』
彼は私の右手に第二ボタンを握らせた。
「えっ、なんで？」
『他の子には、あげたないやろ』
「…なんやねん、それ」
『Aには世話なったからな、たくさん。マネージャーとして』
思わず涙が出そうになった。
彼の記憶に、私が恋人だったことは残っていないのだろうか。短くて長かった1年間は、消えて無くなってしまったのだろうか。
それでも私は第二ボタンを、いらない、と言えなかった。
卒業して別々の大学に進学して、そして今日までずっと…私は彼を忘れられなかった。
もちろん人並みに恋愛はしてきた。
でも誰と付き合っても、あのキラキラした1年間を思い出してしまって、あれ以上ってないんだなという現実を突きつけられるだけだった。
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いと(プロフ) - 鈴さん» コメントありがとうございます！短編集のほうでもコメントくださった鈴さんですよね…？今回もとっっても嬉しいお言葉本当にありがとうございます(；；)何度も読み返して下さってるなんて嬉しすぎます。もちろんです、むしろこちらこそ引き続きよろしくお願いします！！ (6月8日 22時) (
レス) @page50 id: 5013af6899 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - もしよければこれからもいとさんの作品とご一緒させてください！！！！！！！！！ (6月8日 22時) (レス) id: 2fbfb927f5 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 完結おめでとうございますそしてありがとうございます！本当に素敵でした。私はいとさんの作品が本当に大好きで、短編集の方も何度も何度も読み直して、読み直しては切なくなったりほっこりしたり、キュンキュンしたりしています。 (6月8日 22時) (レス) @page50 id: 2fbfb927f5 (このIDを非表示/違反報告)
いと(プロフ) - いちごさん» コメントありがとうございます！あぁ嬉しいです…(；；)そのお言葉のおかげで書き終えられて良かったなと改めて思えました！本当にありがとうございます。 (6月8日 21時) (レス) id: 5013af6899 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - しっかり長編を終わらせてくれてありがとうございます。毎回ドキドキしながら読ませていただいてました。長編ならではの焦ったい描写がとても良かったです！ (6月8日 21時) (レス) @page50 id: f5a6eed348 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いと | 作成日時：2023年5月17日 20時
