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『高校卒業してから会ってないよな？』
「うん、そやね」
『何回か連絡しようと思ったんやけど、電話番号変えたん？』
「あぁそやねん…大学の時、色々あって変えた」
『そうなんや』
「いつか会えたらLINE交換したらええかと思って…でも皓平くん、同窓会も部活のOB会も来ぉへんから」
『ごめんごめん、仕事忙しくて』
なんにも変わってないな。
笑ったら顔がくしゃってなるとことか、大きい手とか、人懐っこい喋り方とか。
「…見てるよ、テレビとか」
『え、ほんま？知ってくれてるん？』
「もちろん知ってるよ。ニッポンの社長、さん」
そうか知ってんのか、見てくれてんのか、と嬉しそうに言うから、胸がきゅっとなった。
『でもテレビかぁ』
「え？」
『ほんまは劇場に。生で、観に来てほしいんやけど』
「あぁ、何回か考えたことはあるんやけど…勇気、なくて」
『勇気？勇気がいるん？』
「当たり前やん、」
好きな人に会いに行くんやから、と言いかけてなんとか抑えた。口が滑るところだった。
『まぁええわ、今度良かったら観に来てな』
「うん、行く行く。……って今何時！？やば！！遅刻やん！！」
彼に偶然再会出来たことが嬉しくて、すっかり忘れていた。私いま出勤中やった。
焦って、じゃ、と駆け出しそうになった私の右手を彼は咄嗟に掴んだ。
『A、連絡先』
「……あぁ！そやね、ごめん」
『これ読み込んで』
「ありがとう」
『ご飯でも行こ』
「うん、もちろん」
彼が表示してくれたQRコードを読み込んで、連絡先を追加した。
じゃあまた、と手を振って別れる。
彼に掴まれた右手の感覚はまだ消えない。
本当は、まだまだ一緒にいたかった。
でも…確実に昨日までと今日からは、違う。
しようと思えばいつでも彼に連絡できることが不思議で、幸せで、会社に着くまで上の空だった。
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いと(プロフ) - 鈴さん» コメントありがとうございます！短編集のほうでもコメントくださった鈴さんですよね…？今回もとっっても嬉しいお言葉本当にありがとうございます(；；)何度も読み返して下さってるなんて嬉しすぎます。もちろんです、むしろこちらこそ引き続きよろしくお願いします！！ (6月8日 22時) (
レス) @page50 id: 5013af6899 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - もしよければこれからもいとさんの作品とご一緒させてください！！！！！！！！！ (6月8日 22時) (レス) id: 2fbfb927f5 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 完結おめでとうございますそしてありがとうございます！本当に素敵でした。私はいとさんの作品が本当に大好きで、短編集の方も何度も何度も読み直して、読み直しては切なくなったりほっこりしたり、キュンキュンしたりしています。 (6月8日 22時) (レス) @page50 id: 2fbfb927f5 (このIDを非表示/違反報告)
いと(プロフ) - いちごさん» コメントありがとうございます！あぁ嬉しいです…(；；)そのお言葉のおかげで書き終えられて良かったなと改めて思えました！本当にありがとうございます。 (6月8日 21時) (レス) id: 5013af6899 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - しっかり長編を終わらせてくれてありがとうございます。毎回ドキドキしながら読ませていただいてました。長編ならではの焦ったい描写がとても良かったです！ (6月8日 21時) (レス) @page50 id: f5a6eed348 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いと | 作成日時：2023年5月17日 20時
