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『こんな…眼ぇ赤くするまで泣かせて…ほんま、なんなん、そいつ』
私はなにも返せない。それでも彼は続けた。
『そいつもやし、その前の奴も、みーんな。俺絶対許さへんからな。俺の大事な人。俺の大好きな人を、傷つけて。俺ずっと言うてたやん、最初っから俺にしとけば…いや、ちゃうな。ずっと冗談っぽく言うてきた、俺が悪いな』
「…匠伍」
『とにかく、そういうことやから。俺、本気で、なんならもう、10年前くらいからずっと本気で、Aのこと好きやから。踏み込むんが怖くて逃げてきたけど、もう逃げへん。逃げへんって決めたから。いま。』
「…めっちゃ喋るやん」
『はぁ！？ひとことめがそれ！？』
「だって急に饒舌になるんやもん」
一生懸命に言葉を紡いで伝えてくれる彼が可愛くて、可笑しかった。
『…で、どうなん』
彼が私の顔を覗き込む。
俺も言うたんやから早く返事を聞かせろ、という顔をしている。
「匠伍と恋愛したら…もし終わった時に、慰めに来てくれる人、おらんやん」
自分でもびっくりするくらいの本音をそのまま伝えてしまった。彼は目を丸くさせている。
『あのさぁAさぁ…あほなん？』
「あほちゃうわ！これ、結構…だいぶ前からずっと思っててん」
『俺はこの先、何があっても、誰と出逢っても、Aのことだけが好きやから。言いきれる。俺がずっと彼女なしやったん、一番知ってるやろ？』
「…まぁ、確かに」
『Aが俺を振らない限り、終わることはない』
そう言うと彼は、いらん心配すんな、と私の頭を小突いた。
いきなりイエスと言う勇気は、私には無かった。
終わりを恐れて、今まで目を背けてきたけど…答えはきっともう出ている。私がずっと探してきた"永遠"はすぐ側にあった。確かに相当あほやな、私。
それでも、すぐにそこと向き合える度胸は持ち合わせていない。
「ちょっと…考えさせて」
『ちょっとって、どんくらい？』
「1週間、とか」
『良い答えが返ってくる確率何パー？』
「…99.9パー」
ふっ、と彼が笑った。
本当に嬉しそうに笑うから、不覚にもときめいてしまった。
『待つ、待つよ』
「1週間…長い？」
『長ないわ、10年待ったんやから、1週間なんてあっという間や』
よし、と膝を叩いた彼は、おつまみの袋を次々と開けていく。食べんで、と笑いかけてくれる。
幼馴染として過ごす、最後の夜が始まる。
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いと(プロフ) - オズワルダー・カイさん» コメントありがとうございます！すごく嬉しいです( ; ; )私も想像できすぎてニヤニヤしながら書きました！笑 (2023年4月15日 12時) (
レス) @page50 id: 5013af6899 (このIDを非表示/違反報告)
オズワルダー・カイ(プロフ) - とても面白かったです！nktnさんが口を滑らすのが想像できて笑 何度でも読み返します！ (2023年4月15日 8時) (レス) @page50 id: 6b28a2102b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いと | 作成日時：2023年3月25日 23時
