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私はドリア、彼はハンバーグセットを注文した。
料理が運ばれてきて食べ始める。
…が、彼が私をジッと見つめてる気がした。
「なんか…見てる？私のこと」
『あぁすみません、なんかAさん可愛なりました？』
「ゴホッ！！！！」
『え、あ、大丈夫ですか？』
「大丈夫大丈夫…ごめん、ドリアが思てたより熱かったわ」
なに？なになに？
頭の中は大パニック。でも可愛いと言われただけでこんなに混乱してると思われたくなくて、必死に誤魔化した。
「べ、別に…なんも変わってへんよ」
『そうですか』
彼は、おかしいなぁ、と首を捻っている。
そんなこと言うタイプやなかったやん。こんな数日で東京に染まったんか？
しばらく無言で食事をした。
私の混乱も落ち着いてきて、今度は私からなにか仕掛けたい気持ちが沸いてきた。
「あのさぁ」
『はい』
「阪本って、好きな人ととかおるん？」
『ゴホッ！！ゴホッゴホッ！！！！』
「…大丈夫？」
『…すんません、ハンバーグが思てたより熱くて』
「いやもうだいぶ食べ進めてるけどな」
彼は相当焦っている様子だった。可愛い。
『な、なんでそんなこと訊くんですか…』
「知りたいから」
『え〜…いやぁ…いない、と言ったら、嘘になりますかね』
「あ、そうなん」
想定外の返事に、胸がズキンと痛んだ。
いませんよそんな人、と返ってくるだろうと勝手に決めつけていた。
自分から振った質問なのに、返答に対する面白い返しが全く思いつかない。彼より4期も先輩なのに。
「…なんかごめんな、変なこと訊いて」
『いえ、全然全然』
食事を終えて、支払をして、店を出た。
あとは劇場まで、少しの距離を歩いて戻るだけ。
4月が始まった瞬間からわくわくしていた気持ちは、今はもう行方不明になってしまった。
私は何を期待していたんだろう。
彼とたくさん会えるようになって、それで？
その先に何が待ってると思っていた？
好きな人がいるか訊いて、勝手に落ち込んで、いったい何がしたかったんだろう。情けなさすぎる。
そんなことを考えていたら、自然と涙が溢れてきてしまった。
彼にバレないように、彼の少し先を歩いた。
涙を拭ったら気づかれてしまうから、上を向いてなんとか零れ落ちるのを堪えた。
『…えっ、Aさん？泣いてます？』
最悪。ほんまに最悪。
「…泣いてへんよ」
『いや、泣いてますよ』
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いと(プロフ) - オズワルダー・カイさん» コメントありがとうございます！すごく嬉しいです( ; ; )私も想像できすぎてニヤニヤしながら書きました！笑 (2023年4月15日 12時) (
レス) @page50 id: 5013af6899 (このIDを非表示/違反報告)
オズワルダー・カイ(プロフ) - とても面白かったです！nktnさんが口を滑らすのが想像できて笑 何度でも読み返します！ (2023年4月15日 8時) (レス) @page50 id: 6b28a2102b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いと | 作成日時：2023年3月25日 23時
