4月と彼＿Shogo_S ページ44
2023年 4月のお話です。芸人さん同士。
33期×29期(you)
*****
ついに、4月が来た。
大好きな彼が、東京にやってくる。
運が良かった私は、彼らの東京での初舞台と出番が被った。わくわくした気持ちをなんとか抑えながら、楽屋のドアを開けた。
『Aさん！おはようございます！』
彼は私の顔を見ると、嬉しそうに挨拶をしてくれた。相方の中谷も、わぁ久しぶりですねぇ、と笑っている。
彼らより、1年早く東京に活動拠点を移した私。
大阪時代はよくご飯に連れて行っていた彼らとも、会える回数は大幅に減っていた。
でも、今日からは。
仕事で一緒になる機会も増えるだろうし、またいっぱい遊べるはず。
そう思うと、嬉しくて嬉しくて仕方ない。
「どう？東京」
『いや、もう帰りたいです』
「早すぎるやろ」
『恋しいです大阪が』
「大阪帰ったら私はおれへんよぉ」
『ああそうか…じゃ一緒に帰りましょ、Aさんも』
ほら、そういうこと言う。
彼は全然そんなつもりじゃないのに、私をきゅんとさせるのが得意だ。
認めたくなさすぎて、自分の気持ちを認めるのに随分時間がかかったけど、私は彼のことが好きだ。
まさか自分が同業者相手に恋をするとは思ってなかったし、それが後輩だということも全く予想していなかった。
だから大阪を離れる時も、彼のことだけが気がかりだった。でも彼を可愛がっている先輩は私だけではないし、別に私がいなくたって、と言い聞かせた。
結局、寂しくて仕方なかったのは私のほうだったけれど。
「阪本、この後時間あるん？」
『ありますよ、次の出番まで2時間くらい空きます』
「じゃあちょっと、ご飯行こや、久しぶりに」
『是非！』
すると中谷が、僕もいいんすか、と目を輝かせながら訊いてきた。
「中谷は、ほら、中野が…一緒にご飯行きたい言うてたよ、蛙亭も今日おるから」
「え、ほんまですかぁ？」
中野よ、ごめん。
何かを察知して話を合わせてほしい。頼む。
なんとか彼だけを劇場から連れ出した私は、数少ない東京での行きつけの洋食店に入った。
『お洒落なとこですねぇ』
「うん、ここの雰囲気好きやねん」
『んふっ』
「え、何？」
『いや、Aさんの関西弁、落ち着くわぁと思って』
「あぁ…まぁ、そらたったの1年では抜けへんわ」
『ずっとそのままでお願いします』
「…分かった」
はい、未来永劫関西弁確定。
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いと(プロフ) - オズワルダー・カイさん» コメントありがとうございます！すごく嬉しいです( ; ; )私も想像できすぎてニヤニヤしながら書きました！笑 (2023年4月15日 12時) (
レス) @page50 id: 5013af6899 (このIDを非表示/違反報告)
オズワルダー・カイ(プロフ) - とても面白かったです！nktnさんが口を滑らすのが想像できて笑 何度でも読み返します！ (2023年4月15日 8時) (レス) @page50 id: 6b28a2102b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いと | 作成日時：2023年3月25日 23時
