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……ふう、と息を吐く。たぷん、と湯船のお湯が少しだけ波を打った。
さすがに少しのぼせてきた。
明日彼は、昼から仕事だ。夜何時に終わるかは聞けていない。なにも言われないから、聞けない。
なにをもらったとか、どこに連れていってくれたとか、そんなのは正直どうだっていい。
ただ…大好きな彼が私のために何かを考えてくれること。そして、喜ぶ私を嬉しそうに見つめてくれること。おめでとう、と抱きしめてくれること。私が一番欲しいものはそういう幸せだった。
昨年もおととしも、私の誕生日の1ヶ月程前から彼はそわそわし始めていた。もうすぐやねぇ、何しようかなぁ、と独り言のように、でも私にしっかり聞こえるように、つぶやいていた。
今年はそれが一切ない。
しかも前日の夜だというのに、ゲームに夢中。
…忘れてるんかな。
そりゃあ3年半も付き合っていたら、倦怠期みたいなものも訪れるか。誕生日だって1回くらい忘れられること、どのカップルにもあるのかもしれない。
自分に言い聞かせても、胸は苦しいままだった。
お風呂からあがり、ドライヤーを終えた私はリビングに戻った。彼はまだゲームをしている。
「透くん」
『ん〜？』
「私、寝るね」
『はぁい』
おやすみぃ、とのんびり笑う彼に、私はなにも返さなかった。無言で寝室に入り布団をかぶった。
もうええわ、透くんなんて知らん、明日ほんまに何もなかったら家出したんねん…などと考えているうちに、気がついたら眠っていた。
翌朝、アラームの電子音で目が覚めた。
眠い目を擦りながら開くと、目の前には彼がいた。
「うわぁ！び、びっくりした…」
『おはよう』
「おはよ…どうしたん」
いつも私が起こさないと起きないくせに。
『誕生日、おめでとう』
「あぁ…忘れてたわけじゃなかったんや」
思わず本音が出た。でも彼は私のその言葉には返事をせず、続けた。
『今年のプレゼントなんやと思う？』
「えぇ、そんなん急に言われても…寝起きやし、頭まわらへん」
『そぉなん？じゃ正解発表』
そう言うと彼は私の左手をきゅっと握った。
握られた左手を見ると、薬指に大きなダイヤが輝いていた。
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いと(プロフ) - オズワルダー・カイさん» コメントありがとうございます！すごく嬉しいです( ; ; )私も想像できすぎてニヤニヤしながら書きました！笑 (2023年4月15日 12時) (
レス) @page50 id: 5013af6899 (このIDを非表示/違反報告)
オズワルダー・カイ(プロフ) - とても面白かったです！nktnさんが口を滑らすのが想像できて笑 何度でも読み返します！ (2023年4月15日 8時) (レス) @page50 id: 6b28a2102b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いと | 作成日時：2023年3月25日 23時
