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そして…今日。
彼の様子が、またおかしい。先月のあの日と同じで、ずっとそわそわしている。
私はあえて、彼が何かを言うまで無言を貫くことにした。サイフォンの、こぽこぽという音だけが響いている。
『あの…Aさん』
初めて名前を呼ばれた。
彼には確かにフルネームを伝えていたけど、下の名前で呼んでくれるのは意外だった。
『よかったら、ほんまによかったらでいいんですけど…お昼ご飯、食べにいきませんか』
「お昼ご飯…ですか？」
『はい、僕来週火曜お休みなんです』
「ふっ」
夜ではなくお昼なことも、店の定休日をしっかり把握してくれていることも、彼らしいなと感じて思わず笑ってしまった。
『えっ、なんで笑うんですか』
「すみません。行きましょ、ぜひ」
『あっ…えっ…行くんですか？』
「行くんですかって」
阪本さんが言うたんでしょ、と軽くつっこむと、彼は、そうでした、と笑った。久しぶりに彼の笑った顔を見られた気がした。
その場で待ち合わせの時間と場所を決めた。じゃあよろしくお願いします、と店をあとにした彼の足取りは、なんだか軽やかに見えた。
約束の日が訪れて、少し早めに待ち合わせ場所に到着した私は彼を待っていた。
すると後ろから、名前を呼ばれた。
振り返ると彼…ではない、知らない男性がいた。
「Aさん、で…合ってますか？」
「そうですけど…えぇっと」
「あぁ良かった、僕、阪本の幼なじみ…っていうか、友達なんですけど」
天然なのかパーマをかけているのかよくわからない髪型で、彼より身体が大きくて声が高めの男性は、彼の友達を名乗った。
まさか私、冷やかされたんかな。
いやでも彼がそんな事をする人は思えない。
「実はですね、阪本が…今朝急に、熱を出しまして」
「えっ、熱…ですか？」
「はい、這ってでも行くって本人は言うてたんですけど、必死に止めさせてもらいました」
「あぁ…そうやったんですね」
「話聞いたら、今日のこともお店で決めたから連絡先も知らないって。だから代わりに僕が事情を伝えに来させてもらいました」
「それはもう、ほんまありがとうございます、助かりました」
待ちぼうけにしないように配慮してくれた彼と、彼のお友達に私は心から感謝をした。また彼が元気になってお店に来てくれたら、次の予定を考えよう。
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いと(プロフ) - オズワルダー・カイさん» コメントありがとうございます！すごく嬉しいです( ; ; )私も想像できすぎてニヤニヤしながら書きました！笑 (2023年4月15日 12時) (
レス) @page50 id: 5013af6899 (このIDを非表示/違反報告)
オズワルダー・カイ(プロフ) - とても面白かったです！nktnさんが口を滑らすのが想像できて笑 何度でも読み返します！ (2023年4月15日 8時) (レス) @page50 id: 6b28a2102b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いと | 作成日時：2023年3月25日 23時
