アイスコーヒーの彼＿Shogo_S ページ20
雨の日は、お客さんが少ない。
音を立てて降りしきる雨を眺めながら、今日はゆったり営業になることを覚悟した。
テイクアウト専門の小さなコーヒーショップを開いて、もうすぐ丸3年が経つ。
少しずつではあるが常連のお客さんも増えてきた。今は焙煎から接客まで全て1人で行っているが、もうそろそろお手伝いしてくれる人を雇ってもいいのかもしれない。
そんな事を考えていると、からん、と入口のドアにつけているベルが鳴った。
「いらっしゃいませ。…あっ」
『こんにちは』
「こんにちは、阪本さん。雨やのにありがとうございます」
『こんなん、降ってないようなもんなんで』
「降ってますよ、どう見ても」
彼も、大切な常連さん。
ちょっとだけ…変わった人だ。
『アイスコーヒーください』
「はい、少々お待ち下さいね」
初めて彼が店に来てくれたのは1年前、蒸し暑い梅雨の夕方だった。今日みたいに朝から雨が降っていた。
おどおどしながら店に入ってきた彼に、いらっしゃいませ、と笑いかけると無言で小さく会釈を返してくれた。
『えぇっと、じゃあ…アイスコーヒー、ひとつ』
「かしこまりました、ご用意しますのでお待ちください」
『あの、ここは…持ち帰り専門ですか？』
「あぁそうなんです、いつかはもっと広い場所でカフェみたいなん出来たらええなって思ってるんですけどね」
ふぅん、と彼は目線を落とした。
興味なさそうやな、と思った。
支払いを終えてアイスコーヒーを渡すと、彼はその場でひとくち飲んで、うま、と呟いた。
『絶対いつかできますよ、カフェ』
そう言って笑ってくれた彼と、初めて目が合った。
なんだ、いい人やん。
「ありがとうございます！また、ぜひ」
私が笑いかけるとすぐに目線を逸らした彼を見て、さっきのやり取りも興味がなかったわけではなくただの人見知りだったことに気がついた。
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いと(プロフ) - オズワルダー・カイさん» コメントありがとうございます！すごく嬉しいです( ; ; )私も想像できすぎてニヤニヤしながら書きました！笑 (2023年4月15日 12時) (
レス) @page50 id: 5013af6899 (このIDを非表示/違反報告)
オズワルダー・カイ(プロフ) - とても面白かったです！nktnさんが口を滑らすのが想像できて笑 何度でも読み返します！ (2023年4月15日 8時) (レス) @page50 id: 6b28a2102b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いと | 作成日時：2023年3月25日 23時
