王子様と彼＿Yuta_N ページ14
いつか白馬に乗った王子様が迎えに来てくれる。
未だに私は、そんな幻想的なことを信じている。
『無理やって、白馬なんて』
「いやさすがの私もほんまに白馬に乗ってくるとは思ってへんよ。例えやん」
『例えねぇ』
「背が高くてイケメンでクールやけど私にだけは優しくしてくれはって…そんで、出会った瞬間にビビっとくんねん。この人やぁって」
『Aがそう思ったとしても、向こうはなんとも思わんかもしれへんやん』
「…まぁなぁ」
『まぁなぁ、なんや。そこは認めるんや』
顔を見合わせて笑い合う。
やっぱり彼には、気を遣わない。
彼と出会ったのは、とある飲み会。
私の友達の友達が彼を連れてきた。
王子様を追い求めている私にとって、彼は最高の話し相手だった。この人が私の運命の人かも、とか余計なことを考えなくていいから。理想と真反対すぎるから。…めっちゃ失礼やけど。
私と彼は信じられないくらい馬が合った。
あっという間に打ち解けて、そこから1年足らずで定期的に互いの家で宅飲みをするようになった。
彼はお酒をあまり飲まないけれど、烏龍茶やら炭酸ジュースやらをお酒のようにガバガバ飲む。そこもおもろい。
私が記憶を無くすくらい酔っ払ったことも、そのまま彼の家に泊まったことも何度もある。
それでも私と彼の間には、決して何も起こらない。
床で並んで雑魚寝をして、目を覚まして、またやってもうたわぁ、お前ほんま飲みすぎやって、と笑い合うだけ。
今日も彼の家で、ひたすらに喋りまくっている。
仕事の愚痴、テレビの話、食べたいものの話…。
気がついたら日付は変わっていた。
「帰るわ、そろそろ」
『あれ、今日はもう帰るん？』
「明日ちょっと早いねん」
『そうなんや。送っていこか？』
「大丈夫よ、すぐそこやん」
『すぐそこやけどさぁ。じゃあ、気ぃつけてな』
「うん、またね」
彼の家をあとにして、徒歩5分で自分の家に着く。仲良くなってすぐに互いの家の場所を知った時は驚いた。なんでそんな近いねん、奇跡やん、とゲラゲラ笑った。
シャワーを浴びて、なんだかちょっと頭が重いような気がして、今日はそこまで飲んでないのになぁと思いながら眠りについた。
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いと(プロフ) - オズワルダー・カイさん» コメントありがとうございます！すごく嬉しいです( ; ; )私も想像できすぎてニヤニヤしながら書きました！笑 (2023年4月15日 12時) (
レス) @page50 id: 5013af6899 (このIDを非表示/違反報告)
オズワルダー・カイ(プロフ) - とても面白かったです！nktnさんが口を滑らすのが想像できて笑 何度でも読み返します！ (2023年4月15日 8時) (レス) @page50 id: 6b28a2102b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いと | 作成日時：2023年3月25日 23時
