∞闇月夜会∞《Dye D 》 (ページ20)

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『そんな、たいした事なくて。始めたばかりで…。すばるさんの、お口に合えば良いんですけど。』

『味は苦味と。酸味と。どちらがお好みだったですか?』

恥ずかしいから、早口になって。何とか次の話をと、ぐるぐる思い浮かべて話をしていた

ぎゅっとされて、

『Aが淹れてくれる珈琲なら、何でもええし…。俺の為だけの珈琲やから、嬉しいわ』

その優しい言葉に、嬉しかったけど

すばるさんが話す度に、うなじに吐息が当たるから

身体が一気に熱くなって。鼓動も早くなってた。

恥ずかしいのを誤魔化すのと、珈琲を早く飲ませてあげたいから

『すばるさん、あの…』

『なに?』

『お湯を沸かしたり、動作が出来ないんで。離れてもらえたら…』

ゆっくり、すばるさんが動き出したから。離れてくれると、ホッとしていたら

“チュッ”うなじにキスされて、驚いていると

『ソファーで、ええ子で待ってるから』

くしゃっと笑って、何事もなかったようにソファーに行った

私は、顔が真っ赤になって。暫く動く事が出来なかった。

すばるさんがつけた、テレビの音がして

“ハッ”として、我に返って。気持ちを落ち着かせる為に

珈琲を淹れる事にした

自分用にパウンドケーキを焼いていたので、それと一緒に持って行った

ニコニコと嬉しそうに、珈琲を飲んでくれて

『美味しい♪A、淹れるの上手やな。』

『ありがとうございます。』

すばるさんに褒められると、凄く嬉しくてしょうがない気持ちになる。

パウンドケーキを一口食べて

『うま!!』

夢中で食べてくれて、その様子が子供みたいで可愛かった。

ケーキを食べ終わると、優しく頬まれて

『Aは、やっぱり変わらんな…。ケーキをよく焼いてた…。珈琲じゃなくて、昔は紅茶好きやったけど…』

言われた意味が分からなくて、首を傾けてると

『その感じも、変わらんな…』

頬に手を当てられて、すばるさんの綺麗な顔が近付いてきた

私は目を閉じた。でも、何も起きない。

ゆっくり目をあけると、そこに居たのはすばるさんだけど

何か違う。凄く違和感があった

『A、大丈夫か?歩き疲れた?』

頭を優しく撫でられて、じっと見つめていると

『ごめんな。もう少ししたら。雛と約束した場所に着くから…』

優しく抱きしめられて、温もりに安心してると

『そこに着いたら、いつもの可愛いAに戻したるから』

その言葉で気付いた。私は、男の人の格好をしていた。