∞闇月夜会∞《Dye D 》 (ページ18)

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村上さんの人気が凄くて、列になってたから

流石に他の人に悪いなと思って。話したがる幼馴染を説得して

村上さんにまた来る事を約束して、教会を出た。

この後に用事があるからと、天真爛漫な幼馴染は駅に行った。

振り回されるのは、いつもの事なので。私は気にしてはいなかった。

でも、特にする事もないから。久しぶりの近所を散歩する事にした。

ふと、見上げると。教会から、少し離れた場所にある高台が見えた。

そこによく1人で行ってた事を思い出して、行く事にした。

近付くにつれて、聴き覚えのある。歌声が聴こえてきた

ドキドキしながら、その場所に上がる階段を登った。

不思議な事に、ピタッと声がなくなり。誰もそこには居なかった。

変だなと思いながら、ベンチに座って。思い出すのに目を瞑って

さっき、教会で聴いた歌を口ずさんでみた。

“♩♬♫～♪♫♫～♬♫♪”

ハモるように歌声が聴こえてきて、温もりを感じて、驚いて隣を見ると

教会で歌っていた人だった。

『あれ、なんで止めるん?ええ声なのに…』

近くで見ると、凄く綺麗な顔の男前の人で。余計にドキドキして

何も話せないでいると、

『ん?何かある?』

ますます、近付いてきたから。私は慌てて

『歌、凄いです!!感激しました。』

『おおきに。』

くしゃっと笑顔が可愛くて、ギャップがあるなと思ってたら

『お姉さんも、歌上手。何かやってたん?』

『上手じゃないです。本当にお兄さんに比べたら、たいした事なくて…』

『楽器は、エレクトーンとフルートをしてたんですけど。』

『凄いやん。音楽好きなんや。』

『はい♪』

和やかな雰囲気に、今なら聴けると思って

『あの、いつも教会で歌われてるんですか?』

『雛。あっ、神父が俺の幼馴染なんやけど。そいつに、頼まれた時だけ来てるから。毎週ってわけじゃないんや。』

そうなんだ。残念だなと思ってたら、

『お姉さんの名前は?』

優しい声で聞かれて、

『海響Aです』

『そうなんや…』

目を細めて、より一層優しい顔になって。お兄さんを見つめてると、なぜか私は涙が溢れてきた。

自分でも驚いて、目を手で押さえようとしたら。ぎゅっと抱きしめられて

『大丈夫やから…』

頭を優しく撫でられていた。その温もりに安心して、落ち着いてきた。

暫くして、ゆっくり私から離れると。優しく微笑んで、

『俺は、渋谷すばる。A、覚えてな。』

ドキドキしながら、私は頷いた。