∞闇月夜会∞《Dye D 》 (ページ17)

今日:5 hit、昨日:8 hit、合計:25,894 hit

“quill” ページ17

『A……』

優しい声で、私を愛しく見つめてくれている

嬉しくて、貴方に微笑む

『A。』

哀しい瞳になった貴方に、触れようとしたら

急に、闇に包まれた

怖くて、震えてた時。貴方の温もりを感じた。

『A、永遠(とわ)に…………』

幼馴染に誘われて、実家の近くの教会を初めて訪れた

近くを何度も通っている筈なのに、今まで入る事はなかった

最近、話題になっている神父さんが居て。話が面白くて、人気になってるから

ミーハーな幼馴染は、是非会いたいと。なぜか私も一緒に行く事になった。

教会に入る時、一瞬寒気がした

懐かしい匂いがして、不思議な感覚に陥った。

『Aちゃん』

幼馴染の声で、我に返った。彼女に促されて、長椅子に座った

続々と人が集まってきて、教会がいっぱいになった。

オルガンの音色と共に、賛美歌を歌った。

終わると、神父さんがゆっくり祭壇の前に来た

若くて、キリッとした目の日本男児みたいな人だったから

神父さんのイメージを覆された。

硬い表情から、くしゃっと笑顔に変わって

和やかな感じで、話が始まった

聞きやすくて、面白くて。人気になるのがよく分かった。

神父さんの話が終わると、

『では、皆さんお待たせしました。』

座っている人達がザワザワしだした。私と幼馴染は何?と言っていたら

黒の服で揃えた。男の人達が入ってきた。

静かになると、ピアノの音がして。綺麗な声の、合唱が始まった

ハーモニーに聴き入っていると、急に曲調がアップテンポに変わった。

手拍子が始まって、真ん中に居た。細身の人が前に出ると、1人で歌い始めた。

“♪♬♫～♬♫♩～♪♫♬”

圧倒される歌声が、綺麗に響き渡って。一瞬で魅了された。

とにかく凄かった!!身体中に熱いものが駆け巡った。

歌い終わると、拍手喝采。合唱をしたみんなが、にこやかにいる中

その細身の男の人は、さっと居なくなってしまった。だから、余計に印象的だった。

幼馴染が神父さんと話したいと、私を置いて行ってしまった。

優しい笑顔で幼馴染と話して居て、後から来た私に気付くと

一瞬、驚いた表情になって、でも和かに

『ようこそ、いらっしゃいました。私は神父の村上です』

『お名前を聞いても、良かったですか?』

『はい。海響Aです』

優しく見つめられて、

『Aさん、是非またいらっしゃって下さい』

その感じに、懐かしさを覚えた。