∞闇月夜会∞《Dye D 》 (ページ16)

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中に入ると、何故か暖炉の上の写真に目がいった。

私、横山さん、安田さんが笑顔で写っていた。

横山さんだけの写真が気になって、手に取って見てると

急に安田さんに抱きしめられて、

『やっと、Aちゃんに近付ける』

『えっ。』

驚いていると、ぎゅっとされて

『侯くんの代わりに、俺がAちゃんを守るから。安心してな…』

言われた意味が分からない。侯くん…?横山さんのこと…?

私が黙っていると、

『Aちゃん、哀しいけど。侯くんは森に行ったっきりで、帰って来おへんから…』

涙が頬を伝った。横山さんに逢えない、哀しい。

感情がコントロール出来ない。

安田さんは優しく微笑むと、私の頬に触れようとした。

でも、急に眉間に皺を寄せて。苦しそうな表情でその場に屈んだ。

『なんで、侯くんはいつでも俺の邪魔をするんや!!』

大きな声で言うから、驚いていると

立ち上がって私を見た。さっきの優しさは無く、

目が狂気に満ち溢れて居た。私は怖くて、後ろに下がった

『A、こっちや!!』

後ろのドアが開いて、横山さんの声がした。

私は夢中で、そこに駆け込んだ

眩しい光が急にさして、ゆっくり目を開けた。

そこには、心配そうな顔で見つめる横山さんが居て

私はソファーに横になっていた。

夢だったんだと、ホッとして。涙が出てきた。

横山さんは、私の涙を優しく指で拭うと。抱きしめて

『A、ごめんな。怖い思いをさせて…。ヤスが、無理矢理。Aに、思い出さそうとするから…。』

『もう、大丈夫やから。Aには絶対に、近付かせぇへんから…』

『侯隆さん、大丈夫…。』

言った後に、ハッとした。

『A、嬉しい。少しずつ、思い出してきたんや…』

優しい声に、横山さんを見上げると

『A、愛してる…。ゆっくりでええから。一緒に思い出していこう』

私が頷くと、

『此処で一緒に過ごそう』

辺りを見回すと、船ではなく。別の場所に私は居た。

起き上がると、横山さんに手を引かれてベランダに出た。

そこで、ここは古城で。島の中に居る事が分かった。

波の音に耳を傾けて、光を感じて空を見上げた。

綺麗な月に、見惚れていたら。後ろに温もりを感じた。

『Aとここで、月が見れるなんて。幸せや…』

『私も幸せです。』

私の前にくると、優しい声で

『A、もう一度。俺の名前を呼んで…』

『侯隆さん…』

『A…』

甘く優しいキスをした。