∞闇月夜会∞《Dye D 》 (ページ13)

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ボーっと、頭が真っ白になりそうになって

『Aさん。』

横山さんの声に、“ハッ”として見上げると、

『大丈夫ですか?急に目を瞑って、動かなくなったからビックリしました。気分が優れないですか?』

丁寧な言葉使いに、遠慮がちにそっと持たれている肩に

さっきの出来事は、気を失って夢を見たのかもしれないと思った。

『すみません、大丈夫です。心配して頂いてありがとうございます。』

『それなら、よかったです。では、ディナーを食べに参りましょう。』

エスコートされて、会場まで歩いていると

前から、金髪でシルクハットの帽子。

大きめの黒いリボンを付けた、オシャレな燕尾服。

マントをつけた男の人が来て、その格好を不思議に思って見てると

横山さんを見て止まった。

『横山くん、綺麗な人を連れて…。彼女?』

ニコニコ聞いてきて、横山さんは真っ赤な顔になって

『そういうんじゃない。まだ…。今日から船に乗って頂いた、お客様や。』

『そうなんや。』

男の人は優しく微笑んで

『この船で、マジックショーをしてます。安田章大です。宜しくお願いします。』

それで服の事が分かった

『マジシャンの方だったんですね。凄い!』

『はい♪ディナーの時にマジックするんで、是非見てください。』

『楽しみにしてます。』

じっと安田さんに見つめられて、名前をちゃんと言ってないと思って、

『すみません、名前を言ってなくて…。森宮Aです』

すると、優しい目で懐かしむように

『やっぱり、そうやと思った。可愛い笑顔、かわり…』

安田さんが言いかけた所で、

『ヤス!!』

大きな声で言われて、私も安田さんも驚いた。

『横山くん…ごめんな。』

横山さんは安田さんに優しく微笑んで、肩をポンポンと叩いた。

何の事だか分からなくて、戸惑っていると

『すみません、大きな声を出して。ディナーに遅れたら行けないので、行きましょうAさん。』

横山さんが優しく私の手を取った。

『はい。』

私が横山さんに寄り添うと、

『横山くん、また後で…』

安田さんは会釈すると、私達と反対方向に歩いて行った

去り際の寂しそうに見つめる目が、すごく印象に残っていた。

横山さんと歩き出した時だった、何かを感じて横を見ると

窓に映る私。横山さんの姿がない。驚いて、横山さんを見つめると

『Aさん、どうしました?』

綺麗な顔が近付いてきたから、思わず目を瞑った