∞闇月夜会∞《Dye D 》 (ページ2)

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“rosary” ページ2

『A、愛してる…』

満月の月明かりの中、私の頬に優しく手が触れた。

『何も怖くない……すぐに一緒に………大丈夫やから……』

私が頷くと、そっと近付いて来て、一瞬の出来事。

遠退いていく意識の中。青白く光る、貴方を見た…私の愛する人…。

その日は、私の大親友の婚約祝いをしようと、もう一人の仲良しの友達と計画を立てて、

レストランを予約していた。

レストランに向かってる途中、その友達からメールが来て、

彼氏が熱を出したから、看病の為に今日はレストランに行けないと…

いつもだったら、”分かった”の返事をすぐして、何も思わないけど、

今日に限っては、お祝いより彼氏を優先させる、友達に腹を立てていた。

その時の私は、自分以外の誰かに尽くす、本当の意味を…気持ちを分かってなかった。

心から想う相手に、巡り逢った事がなかったから…

レストランでは、仲睦まじい2人を見て、微笑ましくて、凄く感謝されるから、

お祝い出来て良かったなと思っていた。

でも、それは始めのうちだけで、メインが出る頃には、

2人の様子も、彼女が嬉しそうに話す内容も、だんだんと

しんどくなってきた。

だから、料理と一緒に出てきた赤ワインを、何杯も飲んでいた

不思議と、グラスに無くなると、すぐに注いでくれるから、

それで余計に煽られて、赤ワインを口にしていた。

デザートを食べて、プレゼントを渡して、喜ばれて

お店を出ると、一緒に帰ろうと言われたのを丁寧に断って、

2人と反対の方向に歩き出した。

酔いを覚ます為に、すぐあった公園に入ると

販売機で水を買って、噴水の近くのベンチに座った

水を飲んだ後、不意に空を見上げた。

満月の夜で、月明かりがキラキラして綺麗で、見惚れていた。

でも、すぐに頭がクラクラしてきて、目眩がして

ベンチの背凭れに、顔を伏せていた。

『大丈夫ですか?』

男の人の声がして、見上げると

心配そうに見つめる。優しそうな目の、男前の人が居た。