Are You Lady?《∞》 (ページ7)

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驚いて、戸惑って。涙が一気に溢れてきた。

すると、男の人が困った顔で微笑んで、頬から手を離して

『ごめん。可愛らしい表情してたから、いつもの癖で触ってもうてた。ほんま、ごめんな…。』

凄く謝られて、優しい人なんだと分かって。申し訳なくて

『私の方こそ、すみません。驚いてしまって、それで涙が出てきたから…』

話を遮るように、優しく抱きしめられて

『ほんま、ここに居るのが勿体無いくらい、可愛いな。どしたん?何のお金が必要なん?』

抱きしめられて、低く優しい声で聞かれて、初めて逢った人なのに、心地良さを感じていた。

私が黙ってるから、顔を覗き込まれて、

『ごめん。逢ったばかりの奴に、言いたないよな。あっ、俺。名前言ってなかったね。』

キリッと男前の表情に変わって

『マネージャーの錦戸亮です。あと、バーテンダーもしてます。』

VIProomで緊張して、接客してたから、顔までは分からなかったけど

奥のバーカウンターでシェイカーを振ってる人が居た。

表情の変化に気付いたのか、錦戸さんが

『思い出してくれた?』

『はい。』

『名前は?』

『あっ、すみません。桜子です。』

微笑まれて、

『そうやなくて、ほんまの名前は?』

『櫻 Aです。』

『A…。可愛い名前やね。』

まっすぐ見つめられて、

『俺が、接客の仕方を教えるわ…』

優しく抱きしめられて、

『A。俺が、No.1にしてみせる!』

私は頷いた。

それから、錦戸さんに毎日。営業が終わった後、VIProomで接客を丁寧に教えてもらっていた。

話す時は、真っ直ぐ見つめて必ず笑顔。時折、伏し目になった後。潤んだ目で見つめる。

話を最後まで、一言一句もらさず聞いて、褒める、労う。時々、そっと手を重ねて微笑む。

お酒を作ったり、お見送りしたり、何か動作をする時は、女性らしく綺麗に丁寧な仕草を心掛ける。

錦戸さんをお客さんに見立てて、実践して教えてもらってたから、触れる事が多くて

勘違いしてしまいそうな程優しくて、何度も可愛いと言ってくれて、褒められて。

時には、“よく出来た♪”と抱きしめられて、おでこに、頬に、キスされて。

錦戸さんを好きだと認識してしまってからは、その時間が楽しみでもあり、胸が締め付けられて、シンドイ時間でもあった。

すぐに勿論、No.1になれなかったけど。20人の女の人の中で、すば子さん、倉子さん、安子さんに続いて、4番目の位置につく事が出来た。