Are You Lady?《∞》 (ページ48)

今日:8 hit、昨日:1 hit、合計:57,970 hit

・ページ48

カクテルを飲んですぐ、優しく微笑んで

『Aさん、美味しいです。』

その言葉でホッとした。グラスを差し出しされて

『Aさんも、飲んでみて下さい。』

ニコニコで言われるけど、困ってると

『すみません。俺、つい嬉しくて。何言ってるんやろう。同じグラス嫌ですよね』

小さい声で

『間接キスやん…。ほんまにアホや…』

凄くシュンとして、落ち込んでるから

『いただきます。』

置いてあったグラスを取って、一口飲んだ。丸山さんはビックリしてた。

『いつもより、上手に出来たと思います。自分で言う事じゃ、ありませんけど。』

『そんな事ないですよ。俺が飲んできた中で一番、美味しいです!!』

『ありがとうございます。』

その事がきっかけで距離が縮まって、毎週のように丸山さんが来てくれていた

一杯目はマスターのお酒。二杯目は私にカクテルを頼むのが、お決まりのパターンになっていた

頼むカクテルには、共通の入れるお酒があって。よっぽど好きなんだと思っていた。

でもある日を境に、一杯目に私にカクテルを頼んでくるようになった。

少し遅めの時間に来て、マスターに挨拶を済ますと。すぐに私の目の前に座って

『こんばんは。Aさん、今日はロブ・ロイを…』

『かしこまりました。』

いつも作ってるのを、キリッと男前の顔で見つめられて、ドキドキして緊張するけど

何とか頑張って作っていた

カクテルを一口飲んで、

『今日も美味しいです。』

丸山さんに優しく微笑まれて。私は安心して、嬉しくなる

お話していて、不意に

『今日は、Aさんも一緒にお酒飲みませんか?』

『いや、お気持ちだけで…お酒飲んで、仕事に何かあったらいけないから。ごめんなさい』

『Aさんって、ほんまに仕事熱心なんですね。素敵やな…』

褒められて恥ずかしくて俯いてたら、丁度来たマスターが

『どしたの? もう、丸山くん。Aさんに何言ったの?』

『何も変な事言ってないですよ。思った事を言っただけで…それより、マスター。Aさんに一杯奢りたいんで、カクテル作ってもらっていいですか?』

『良いよ。何を作りましょう?』

『クロンダイク・クーラーを…』

マスターは一瞬丸山さんじっと見て、優しく微笑むと

『かしこまりました。』

華麗にオレンジの皮を螺旋状にむいて、グラスに綺麗な色のカクテルが出来た

マスターが作る物は、勉強目線で見てるから、私はその事ばかり考えてた。