episode31 ページ33
オレは一方的にいろいろなことを話始めるヒロくんを制止した。
ウム、とヒロくん。
「まずAさんって言ったよねェ!? んでその人が先輩先輩といたの!?」
『う、ウム。どうしたんだい藍良。確かに今AさんはES内ではけっこう話題の人物だし、瀬名先輩も人気アイドルだけど……』
違うよ馬鹿! と叫ぶようにして言って、はあ、とため息をついた。
「あーあ、チェックメイトだよォ」
混乱したようにヒロくんが言う。
『えっと、どういうことかな藍良。一から説明してほしいよ』
オレは自分でも状況を整理しながら話した。
「オレ、Aさんは瀬名先輩のファンだと思ってて。
……ていうか、一部のオタクの間ではけっこう話題になってるんだよねェ」
『だからESでも彼女の名前がよく出るのかな?』
「そういうこと〜」
瀬名先輩がフォローした、いつかの企画でKnightsが行っていたカフェのメイドさん。
彼女のことを、Knightsの現場で見たことがある人が少数だけど、いるみたいで。
まだ大きな噂になっているわけじゃないけれど、もしそうだったら"アイドルとファンがつながった"って解釈される可能性もあるから、ESは事情調査を秘密裏に進めている。
もちろん瀬名先輩たちKnightsは、そのことは知らないはず。
余計な負担をかけないように、との配慮らしい。
瀬名先輩がTwitterをフォローしたのは、仕事相手としてだと思うんだけど、Aさんは──もし彼女が本当に瀬名先輩のファンだったら──"そういう風"には捉えていないと思う。
オレだったら、うれしくて舞い上がっちゃう。
……それでいうならオレや真白先輩もドルオタなわけだけど、一応オレたちはちゃんとアイドルだから。
ここでの問題は、彼女が"自分がファンであることを隠して、あくまでも仕事相手として接している可能性がある"こと。
「ESの心配してることが杞憂で終わりそうにないよォ……一緒に出かけてたなんて」
Aさんが瀬名先輩のファンだっていう可能性は、きわめて高い。
「変にスキャンダルにならないといいんだけど。ヒロくん余計なこと言わないようにしてねェ?」
『? ウム、任せてほしいよ!!』
一応釘をさしておく。
オレたちALKALOIDはMDMでしっかりとデビューできたわけだけど、まだまだ安定しているとは言えない新入りだ。
この状態のときにESのアイドルが炎上……なんてことになったら、なんて考えたくもない。
そのあと、ヒロくんに本来の用件をはなして、通話を切った。
「あれ、そこにいるのは白鳥か?」
ふと、話しかけてきたのは仁兎先輩だった。
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咲愛(プロフ) - ツキさん» コメントありがとうございます!始まった頃から読んでいただけているとは、大変うれしいです!続きは本日中に公開出来たらと思ってますので、ぜひぜひ今後ともよろしくお願いします! (2023年2月22日 16時) (レス) id: 8b89f62398 (このIDを非表示/違反報告)
ツキ(プロフ) - この作品が始まった頃から楽しく読ませて頂いてます!毎日更新が楽しみで素敵な作品に出会えたなと思いました!続き楽しみに待ってます! (2023年2月21日 22時) (レス) @page50 id: 56454ebf31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲愛 | 作成日時:2023年1月27日 12時