episode３０ ページ32
あーあ、とつぶやく。
こういうことをしても、意味なんてないのに。
むしろ、泉に迷惑がかかるのに。
分かっている。
分かっていても、またやってしまった。
そうでもしないと、波のように押し寄せる感情に自分が潰されてしまいそうだったから。
「失恋」をしたあの日から、
今までよりさらに加速して行動に歯止めが利かなくなった。
どうしても、うらやましくて。
私は、アイドルという仮面を外した彼とまともな会話すらできなかった。
この恋が叶わないのが"絶対"なのだと思い知ってしまった私は、彼女を―――Aを、羨んで、恨んで、憎んだ。
お門違い、論外、非常識。
そんなことは分かっている。
どうしようもない虚しさはいつしか怒りへ変わってしまった。
ただ最後に、Aと面と向かって話したとき。
なぜか、泉はこういう子が好きなのかな、なんて思考が過って。
少しだけ、寂しさも覚えた。
そんなわけないのに。
気高き騎士が、あんなメイドのことを好きになるわけないのに。
ありえない、のに。
どこかで、その可能性はゼロではないのかもしれないと思った。
案件が終わって時間のかかってからの泉からのフォロー。
そして、インスタライブであのカフェのことを話題にする機会が増えた。。
そんな風に考えてしまう自分が、嫌で嫌で仕方ない。
──
「もしもし藍良、僕だよ！ 一彩だよ！」
『声でかいし……ヒロくんにかけたんだからわかってるよォ』
呆れたように通話越しに藍良が言う。
Aにハンカチを渡した後、一彩は元気よく電話に出た。
スマホの操作はまだあまり手慣れないけれど、藍良の指導の成果か、電話には素早く対応できるようになった。
『さっきはなんか急いでるみたいで通話切っちゃったけど、何かあったの？』
藍良の質問に、ウム、と一彩は答えた。
「目の前でハンカチを落としていた人がいてね、届けに行っていたんだよ」
『へ〜偉いじゃんヒロくん』
藍良に感心された一彩は、話題を少し広げた。
「実は、ハンカチを落としていたのはあのAさん……だったかな、その人だったんだ。落としたときにKnightsの瀬名先輩と一緒にいてなかなか声をかけるタイミングが掴めなくて──」
『ちょちょちょ、ストップストップ！！ 一旦止まってヒロくん！！？』
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咲愛(プロフ) - ﾂｷさん» コメントありがとうございます！始まった頃から読んでいただけているとは、大変うれしいです！続きは本日中に公開出来たらと思ってますので、ぜひぜひ今後ともよろしくお願いします！ (2023年2月22日 16時) (
レス) id: 8b89f62398 (このIDを非表示/違反報告)
ﾂｷ(プロフ) - この作品が始まった頃から楽しく読ませて頂いてます！毎日更新が楽しみで素敵な作品に出会えたなと思いました！続き楽しみに待ってます！ (2023年2月21日 22時) (レス) @page50 id: 56454ebf31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲愛 | 作成日時：2023年1月27日 12時
