××エンド、××ルート (ページ4)

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照のため息が、呆れたような顔が、

頭から離れない。

ふっかと並んで振り覚えが早かったのに、いつの間にか覚えるスピードは遅くなってしまった。
それに加えてダンスの精度だって落ちた。

照からあぁやって喝を入れられる事も珍しくなくなった。

こうして皆が帰った後、一人で練習を続けないとついていけなくなった。

鏡に映る私は必死すぎて笑えない。

使い古したレッスンシューズも
くたくたで笑えない。

最後に笑ったの、いつだったっけ。

⋯⋯いつからか、みんなの笑顔の中心にはマリアがいるようになった。

若くて可愛くて、挑戦したものは完璧にこなして。

共有しているスケジュール中に増えていくあの子の色と、比例して減っていく私の色。

"私って居なくても大丈夫じゃない？"

一日に一回は必ず浮かぶその言葉は、口に放り込んだ飴玉と共に噛み砕く。

言ってしまったらきっと駄目になるから。

大丈夫、大丈夫、

大丈夫。

彼女たちが加入してきた時に何千回も言ったその言葉。半分は本当だったけど、半分は嘘だったんだよ。

でも言えなくなった。

知ってる。
昔から私は見栄を張ってしまうって。

その見栄を見破ってくれるのが6人だったのに。

いつの間にか、誰も。

「 A」

ふと名前を呼ばれて、顔を上げた。

鏡張りになった壁の奥で、
あるメンバーが私を見ている。

でもどうして。

そこまで考えたところで、強烈な違和感に気づく。

彼を見る。

優しく微笑む彼は、確かにそうだけど。

「A」

『っ、なにこ』

"れ"と続けようとした言葉より前に、
鏡から溢れんばかりの光が視界を満たす。

眩しくて何も見えなかった。