××エンド、××ルート (ページ12)

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ルート解放「ハートの舞踏曲」ページ12

次に目を開いた時には、誰もいない部屋。

⋯⋯なんて本当に有り得ないよ。

見渡した部屋はさっきまで皆といた場所とは遜色ないのに、よくよく見ると物の配置や荷物が違う。

でも荷物は既視感があるものばかり。

脳内を掠めるのは有り得ない仮説。いや、もうこれは夢なんかじゃないんだからその仮説は正しいのか。

⋯⋯とりあえず、夢の出口を、あの色の違う非常口を探す必要がある。

それに。

そのうち誰かがまた私を呼んでくれるかもしれない。

でももしその前に⋯⋯⋯⋯

ｶﾞﾁｬ

『ひっ、』

ノックも無しに開いた扉に心臓が飛び跳ねる。

咄嗟に向けた視線の先には、やっぱり見知った彼の姿。

「⋯⋯⋯⋯おや」

私を見て驚いているような表情。

そしてカツカツとブーツを鳴らしてこちらに歩いてくる。

近づいてくる。

私はそれに比例して一歩一歩下がっていくけど、ついに背中が壁に当たって息を飲んだ。

「怖がらないで。俺は、君を助けられる」

『信用できない。アンタも、、違うんでしょ』

「⋯⋯うん。Aが知ってる宮舘涼太ではないけど、俺だってきっと優しいよ」

私からある程度の距離を取って諭すように話す姿に一瞬、舘さんの姿が重なった。

でもそれは幻。

あの翔太を見ているような奇妙な気分になる。

⋯⋯でも、もしも彼の言う事を信じていいのなら。

『本当に助けてくれるなら⋯⋯連れてって、出口まで。
ここにいる誰にも見つかりたくないの』

彼は笑った。

外からは足音と大勢の声がする。

「仰せの通りに、アリス」

私は白うさぎを追って穴に落ちたわけじゃないんだけどな。