キャラメルソルト・シュガー 5 (ページ8)

今日:233 hit、昨日:396 hit、合計:118,155 hit

手の鳴る方へページ8

「どうだ？」

その言葉の意味が分からないほど
私は純粋じゃなかった。

滝沢くんが視線を向ける先には、ジュニアの中でも頭一つ抜けている先輩たちが背を向けて踊っている。

その中の一人は私と同じ。

女の子。

『⋯⋯それは、今のグループを見捨てろって事ですか』

「アイツらとお前じゃレベルが違う。見たい景色もな。
亀山なら分かってると思うけど」

『⋯⋯⋯⋯』

それでも私はれーくん達が好きだった。

それと同時に、このまま彼らと一緒にいれば
腐ってしまう事も分かっていた。

もう私も若くない。女のジャニーズというイバラの道を選んだツケはすぐそこまで迫っている。

私はどの道を選んでも"普通"にはなれないのだから。

「お前だけじゃなくて他のジュニアにも声をかけようと思ってる。⋯⋯最終的に決めるのはアイツらだけどな」

滝沢くんの横顔を見つめる。

もうきっと、そのジュニアの見当はついているのだろうと
なんとなくそう思った。

新たに開かれたイバラの道。

どの道よりも厳しいものになる予感がしたけれど、

きっとこれが1番の近道になる。

⋯⋯私は、どうしてもデビューしたい。

その為にも。

『検討させてください。⋯⋯前向きに。』

現状維持じゃ間に合わない。