キャラメルソルト・シュガー (ページ27)

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ミトがAの首筋の凍傷に温かいタオルを当てているのをAは申し訳なさそうに見つめる。

まだ震えている指先は佐久間と康二が泣きそうな顔でにぎにぎと温めていた。

でも脇の下には氷嚢が挟まれ、

おでこには冷えピタ。

温と冷がバラバラで本当にこれでいいのかとマネに確認したが、Aの場合はこれが一番いいという。

出演時間が差し迫る中、出来ることをするしかないと。

その目は虚ろで誰がどう見ても具合が悪い事など分かりきってしまうのに、無理をさせようとしている事が辛いのはきっとみんな同じだ。

美兎「Aちゃん、、どうしても出なきゃダメ？今からでもお休みした方が⋯⋯」

『大丈夫だよ。
最近のメイクさん凄いから隠せるからさ』

美兎「違くて、ねぇ、ミトが心配してるのはそういう事じゃないよ、」

ミトの目が潤んできた。

あーあ、泣かせてるじゃん。

それを見たAは『わ、翔太くん！！』と慌てて翔太の名前を呼んだが。

渡辺「もう来いよミト。コイツは駄目だ、なんも分かってねぇ」

『⋯⋯』

渡辺「凍傷に気づかないこともそうだけどさ。心配される理由も気づけねぇとかおかしいんじゃねぇの、お前」

『⋯⋯

心配されたくないことがそんなに悪いこと？』

渡辺「ミトや俺らの気持ちを無視してる事が悪いって話だよ。⋯⋯人の心とかない感じ？」

佐久間「翔太！言い過ぎ！」

ミトの善意を交わされた事もあり、完全に頭に血が登っている翔太の言葉。

俺も思わず佐久間に続こうとしたが、

ｺﾝｺﾝと

ノックの音。