キャラメルソルト・シュガー (ページ19)

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好きだったよ。いや、嘘かもページ19

男所帯の中に女が紛れると高確率で発生するイベント。

それは恋愛。

だがそれは絶対的タブー。

特にジャニーズでやって来たならば尚更。

「待ってそんなにやな顔する事無くね？」

『お前のせいで一度炎上したんだから当たり前でしょ⋯⋯イメージって大切なんだよ、樹くん』

この男。

私の人生の初カレであり、過ちであり、黒歴史。

まぁ一様に彼を責めることもできないし、私も悪い。

だからこそ、完全に関係を切って
円満に別れようと提言をした。

彼も納得したはずなんだけどな。

事務所でバッタリと出会ってしまったのが運の尽き。

樹「⋯⋯だって俺、あれから何人もカノジョ作ったけどどれも長続きしなかったんだもん」

『ぶりっ子すんなし。それに私とだって一年も続かなかったよね？』

樹「最長２ヶ月」

『短っ！！小学生じゃん！』

予想を遥かに超えた短さに思わず吹き出すと
樹くんはムスッとした顔。

樹「しかも別れてから普通の友達として遊ぶのもダメって言うし酷くない？」

『火のないところに煙は立たないの』

樹「俺らもう大人だよ？ちゃんと上手くできるって」

話にならん、とその場から立ち去ろうとすると樹くんが私の手を掴む。

その力の強さに一瞬たじろぐけれど。

『⋯⋯樹くんは私を困らせたいの？』

樹「困らせてんのはそっちじゃん。

好きなのに、なんでダメなんだよ。俺らがアイドルだから？もし普通に出会ったら違った？」

"普通"なんてもう手に入らない事を昔の私たちは知らなくて、

今の私たちは痛いほど知っている。