増田貴久の独白

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今日も自分で自分の手首を傷つける。





こんなことで、




これっぽっちの血の量だけで




意識が失えるなんて到底思わないけれど、





少しでも手越に近づけるなら…





そう思い何度も角度を変えてカッターで切り込みを入れていく。









ぽたぽたと垂れる血液を眺めていると、どこか安心する。





じっと自分から溢れていく血液を見ていると、横から包帯を巻かれた。






シゲだった。





やんわりとカッターを俺から取り上げ、傷ついた手首にぐるぐると包帯を巻いていく。




シゲは螺旋を描くのがだいぶ上手くなった。





小山もシゲも、俺に、自分を傷つけるのをやめろとは言わなくなった。




言わなくなった代わりに、




労わりながら包帯を巻いてくれたり、




もっと酷いことをしようとした時には何も言わず、身を呈して庇ってくれるようになった。






それが小山とシゲの優しさなのだと、分かっている。





2人を傷つけているのも分かっている。







でも、やめられないんだ。







ごめんね。







俺が2人をボロボロにしているの、分かっているのに。






俺が自分自身を傷つけなくなれば済むのも分かっているのに。







なのに。







また刃物を自分に押し当てるしかできないんだ。









・









一ヶ月と二週間。

手越はまだ目を覚まさない。



…

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