教育実習生と生徒 (ページ10)

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しかし次の日に図書室に行くといつもいるはずの先生がそこにはいなかった。
それに、別の人がいつも先生がいた席に座っていた。

『あの、先生は今日お休みですか？』

先生がいない日なんて1回もなかったのに、風邪でも引いたのかなと考えていたら、思わぬ返答がきた。

「図書室の先生ね、昨日辞められたよ」

『え、そんなこと昨日は一言も…！』

辞めたと聞いて、納得が出来なかった。

私に百人一首の本を預けて、先生はどこかに行ってしまった。
どんな気持ちで、付箋をつけたのかを教えてくれないまま姿を消してしまった。

何も教えてくれなかったことに対して怒りよりも悲しみがどっと押し寄せた。

『先生、先生！私ね、先生のこと好きなんだ～』

「はいはい、ありがとう」

思い返してみると私は先生に何度も何度も好きだと伝えてきた。でも一度も相手にしてくれたことはなかった。いつも流されるだけだった。

なのになんで、どうしていなくなる日に勘違いさせるようなことをして私の前から消えてしまったのだろうか。ぐるぐると頭の中を先生が支配していた。