教育実習生と生徒 (ページ17)

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隣の彼ページ17

学校からの帰り道はいつも岸くんと駅まで歩いている。

どんなに遅くなっても待っててくれる岸くんはやっぱり優しい。

岸くんになら、今日会ったこと話してもいいのかな。

『ねぇ、岸くん。』

「どうした？」

『もしね、岸くんのことを好きっていう生徒がいたらどうする？』

「気持ちは嬉しいけど断るしかないなあ。教育実習生だし、俺らは遊びにきてるわけじゃないから」

『まあそうだよね～』

岸くんにこんなことを聞いたのは永瀬くんのことが頭から離れてくれないからだ。

彼は少なからず、私に好意を寄せてくれている。

それが本当に好きなのか、はたまた憧れなのかはわからないけど。

考えれば考えるほど、答えは一個しかないのに、気になってしまう。

『はあ～～～』

「どうした？でっかいため息なんてついて。幸せ逃げるぞ～」

『ため息ついただけで幸せ逃げちゃうなら、もうとっくに私の幸せは逃げてるよ』

「変な質問するし、まじでなんかあった？」

『んー、…なんでもない』

岸くんに言ったところで何かが変わるわけではない。

でもこのもやもやはどうにかしたい。

そんな私の考えを岸くんはきっと見透かしたのだろう。

「昔からその言い方は、なんでもない時に言ってるから。俺でよければ話聞くけど？」

あーやっぱり。岸くんには敵わない。

『前にさ、生徒から私に興味あるって言われたみたいな話したの覚えてる？』

「あー、なんか言ってたな。そいつになんかされた？」

『何かされたわけではない、告白…された。
あの図書館で。答えはNOしかないのはわかってるんだけど、なんかひっかかるというか、』

そこで言葉を濁してしまった。

おそらく私がひっかかっているのは、先生とのことを鮮明に思い出してしまったからだ。

なんだか永瀬くんにはいつも見透かされているような気がしていたし、どことなく、先生のような面影を感じる時もある。なんとなくだけど。

「告白ね…、今時の若いやつは行動力あるね～」

岸くんは急にそんなことを言い出した。

『そういう話してるんじゃないんだけど、真面目に聞いてる？』

「聞いてるよ。まあどうにかしないと、だな。そいつのためにも、お前のためにも。」

『その子のためはわかるけど、なんで私のため？』